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柿渋の話

 柿渋の主成分は、ポリフェノールという物質の一種です。ポリフェノールというとお茶やワインなどが有名ですが、他にもたくさんの植物に含まれています。例えばバナナの皮やリンゴの切り口が変色したり、刈り取った草が茶褐色になるのも、主にポリフェノールが酸化されて色が変わることが原因です。
 このように自然界に広く存在するポリフェノールですが、中でも、柿は特に多量のポリフェノールを含んでいます。可食部100g当たりで比べると、バナナで300mg、ワインなら200mgのポリフェノールを含みますが、柿は1,000mg以上と、その含有量は桁違いです。

 また、ポリフェノールが健康増進に役立つと言うことも、経験的に知られていました。初めは薬として輸入されたお茶や、「柿が赤くなると医者が青くなる」といわれてきた柿など、その様な例はたくさんあります。それを現代の食生活に生かそうと、ポリフェノールの人体への影響が盛んに研究され、血圧上昇抑制、活性酸素等に対する抗酸化作用等が解明されつつあります。今のところ研究の対象は、比較的化学構造が簡単なお茶のポリフェノールが中心ですすめられています。残念ながら、構造が複雑な柿渋のポリフェノールは、ほとんど研究が進んでいませんが、今後の研究の進展によって、その効能が解明される日もやがて訪れることでしょう。

 ところで、柿渋は古来から染色材料としても利用されており、化学染料の登場によって一時姿を消しましたが、最近またその良さが見直されつつあります。そこで果樹振興センターでは、そんな柿渋染めの素晴らしさを体験していただくために、毎年夏と秋に柿渋染め講習会を催しております。本年は八月一日に開催し、秋にも改めて20名の受講生を公募する予定で準備中です。是非皆さん、この機会に柿渋染めに挑戦し、柿渋の魅力の一端に触れてみて下さい。 

2001年8月
奈良県農業技術センター 果樹振興センター 
特産開発チーム 主任研究員 浜崎貞広