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果樹の花芽のおはなし

 果樹は永年性作物で、今年の果実を実らすのと同時に、翌年再び花を咲かせ果実を実らす準備をします。翌年の花のもと(赤ちゃん)が花芽です。花芽にはモモ・ウメ・サクランボのように花のみを形成する純正花芽と、カキ・ブドウのように花と葉の両方を形成する混合花芽があります。また、花芽の着く位置によって、ナシのように新梢の頂部に着くものや、モモ・ブドウのように側部に着くものやカキ・温州ミカンのように頂部とそれに続く側部に着くものがあります。冬期にはこのことを忘れないで剪定しましょう。   

 大多数の温帯果樹は通常、前年夏6~9月(温州ミカンは当年の冬1~2月)に、新梢で発育する芽の中で花のもとを形成します。この花のもとの形成を花芽分化といいます。奈良県の特産であるカキは6~7月に花芽分化が始まり、8月までにある程度花芽が発育した時点で生育が止まり、芽は休眠に入ります。そして、発芽期前後から再び急速に発育を開始し、5月の開花期までに花器を完成させます。      

 花芽分化にはジベレリンのような植物ホルモンや光・温度・土壌水分が影響しますが、着果量と花芽分化との関係は割にはっきりしています。すなわち、着果量が多すぎると翌年の花や果実が減少する、いわゆる「隔年結果」という現象が生じます。葉で作られた同化養分を樹自身と当年の果実、さらには翌年の花芽で奪い合うわけですが、この闘いは花芽にとって分が悪いようです。樹にとっては、「余裕があれば翌年のことも考えようかなあ。」ぐらいの事で、いざとなれば当年の果実も見捨てます。いわゆる「生理的落果」です。果樹とは何とドライ?な生き物でしょう。
2002.7
奈良県農業技術センター 果樹振興センター 
総括研究員 今川順一