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温室育ちの柿はおいしい

昨年秋のこのコラムの中で、最近になって柿の新品種が相次いで出てきているお話を紹介しましたが、今回はそれらのおいしい甘柿達がもっとおいしくなるハウス栽培について紹介します。
 奈良県での柿のハウス栽培は昭和55年に始まり、現在の栽培面積は西吉野村を中心に約16haで、全国で第1位です。栽培されている品種は渋柿の「刀根早生」(とねわせ)で、露地では9月下旬頃から収穫できますが、12月下旬から暖房を始めると6月下旬頃から、1月下旬から暖房すると8月中旬頃から収穫できます。ハウス栽培することで、開花から収穫までの期間が20~30日程度長くなるため、糖度が高くなります。例えば「刀根早生」では露地と比較して2~3度高い16~18度位になります。
 「刀根早生」は栽培しやすく、品質もよく、収穫できる量も多いので、現在ハウス栽培の主要品種になっていますが、渋抜きに労力が必要です。一方、甘柿品種は渋抜き作業が不要なため、収穫してすぐ出荷できます。昨年紹介した果皮の赤みが魅力の「早秋」(そうしゅう)や高い糖度が魅力の「新秋」(しんしゅう)は、1月下旬から暖房を開始した場合、収穫時期が露地と比較して1ヶ月ほど早く、前者は8月中旬頃、後者は9月中旬頃になります。しかも果実の大きさは露地で栽培した場合の1.5倍程度になり、糖度も20度以上になって、非常に品質のよい果実が収穫できます。ただし、「刀根早生」は種が入らなくても実を結ぶので、受粉は必要ありませんが、甘柿品種は種が入らないとほとんど実が落ちてしまいますので、受粉作業が必要になります。
 現在、ハウス栽培の「刀根早生」は暖房費などでコストがかかるため、やや高価な商材となっています。果樹振興センターでは一層の低コスト化を目指した栽培についても取り組んでおり、今回紹介した甘柿品種と併せて、「温室育ちのおいしいハウス柿」を安価に皆さんの食卓にお届けできるよう研究しています。
温室育ちのカキはおいしい
     ハウス栽培の「刀根早生」(左)と「新秋」(右)
2004年6月 
果樹振興センター 主任研究員 杉村 輝彦