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続・サクランボのおはなし

 4年ほど前に本欄でサクランボ栽培の特徴について書きましたが、今回はその続編です。

 サクランボの品種といえば、まず「佐藤錦」があげられます。甘みに富んだサクランボの王様です。奈良では5月下旬から収穫できますが、雨除け栽培をしていても、着色期から収穫期にかけて曇雨天が続くと、果実が割れてしまいます。「佐藤錦」より数日前に収穫できる「高砂」も有名な品種です。奈良で栽培すると、山形よりも約2週間早く収穫できます。糖度も20度以上になり、「佐藤錦」にひけをとらないおいしさです。これらより、2~3週間遅れて収穫する大玉の「ナポレオン」は、奈良で栽培すると糖度22度以上で酸味もしっかりある濃厚な風味になります。あと、「高砂」より数日早く収穫できる「香夏錦」も豊産性で品質良好です。書いている私の口からヨダレがでてきたので、ここらでやめておきます。

 さて、果実の内容成分は、水分が80%強、糖質は10%強含まれており、糖質の60%以上が果糖です。果糖は糖類中甘みが最も強く、ショ糖の1.5倍位あります。サクランボの強い甘みは、この果糖のおかげです。一方、菓子の甘味料にもよく使われているソルビトールはリンゴの2倍以上あり、甘みが強い割りにさっぱりしているのはこのためです。さらにソルビトールには、虫歯予防や整腸作用の効果があります。なお、サクランボの酸は0.4%位、その内の70%以上がリンゴ酸です。また、ミネラルも多く、カリウム・リン・カルシウム・鉄などを含んでいます。特に、高血圧に有効とされているカリウムは果物の中でも多い方で、100g当たり200mg位含まれています。また、赤い色素には、ブルーベリー同様にアントシアニンが含まれるので、眼精疲労の回復に効果があると期待されています。さらには、抗酸化作用も確認されています。

 ここ数年、県内でもサクランボを植える生産者が増えています。まだ、販売できるほどの量は穫れていませんが、年々収穫量は増えています。奈良産のサクランボが皆様のお口に届く日まであとわずかです。


2005年6月
農業技術センター果樹振興センター
果樹栽培チーム 総括研究員 今川 順一