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「柿渋」についての新しい取り組み

 柿渋は、夏に未熟な柿の実を採り、発酵させて作る天然資材です。古くは柿漆(かきうるし)とも呼ばれ、江戸時代には、時代劇でおなじみの番傘や漁網、野良着などの防水防腐剤として、また清酒醸造に欠かせない食品添加物として利用されてきました。近年の重化学工業の発展と共にほとんど見られなくなりましたが、最近、様々な機能性が報告され、再び脚光を浴びるようになって来ています。
 柿渋の主要成分はポリフェノールです。ポリフェノールと言うとお茶のカテキンが良く知られていますが、柿渋もその親戚と言うことが出来ます。
 このポリフェノールの代表的な特性に、抗酸化活性という機能があります。人は酸素を利用して生きているわけですが、酸素は非常に反応性に富んだ物質で、体内では取り込んだ酸素の数%が活性酸素として有効利用される半面、様々な障害の基にもなります。抗酸化活性とは、そう言う過剰な活性酸素の影響を排除・抑制する機能のことです。最近では、糖尿病、動脈硬化などのいわゆる生活習慣病やガンの元凶がこの活性酸素と言われ、これに対抗する抗酸化活性が、非常に注目を集めています。抗酸化活性はビタミンCやお茶が強い活性を持っていることで知られていますが、柿渋もまた強力な抗酸化活性を持っています。 ただ、柿渋は渋みや臭いが非常に強く、そのままでは口にすることができません。また、作るには柿渋専用品種の果実が必要で、手間と時間がかかることから、健康機能性と言う面での利用はあまり進んでいませんでした。
 そこで奈良県農業技術センターでは、柿渋の原料には出来ないような柿果実からも、簡単にポリフェノールを抽出する技術を開発し特許出願しました。この技術をベースに大学、企業と連携して、柿ポリフェノールを健康機能性食品として利用する研究を始めています。この研究が進めば、近い将来、皆様に優れた機能性を持ち、味も悪くない全く新しい「柿渋」、そしてこの「柿渋」を使った健康食品を食べていただけるようになるでしょう。



2005年7月
農業技術センター果樹振興センター
特産開発チーム  総括研究員 濱崎貞弘