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種から始める果物づくり

 果物を食べた後に捨てるはずの種を、「猿カニ合戦」のカニの気持ちになり、播いてみた事はありませんか?植物を種から育てることを「実生(みしょう)栽培」といい、一般的に作物、野菜、花でおこなっている方法です。一方、果樹を含む樹木類は、園芸店では苗木で販売しているため、種から育てる機会はほとんどありません。しかし、果物の種も野菜や花と同様に適切な管理をすれば、発芽もしますし、花や実もつけます。
 まず、果物の種を取り扱っている園芸店は無いので、種を果物から取り出す必要があります。種は果肉を取り除き、よく洗っておけば良いでしょう。取り出した種はすぐに播いてしまいがちですが、それでは発芽せず、失敗してしまいます。ほとんどの種は、採種後、しばらく低温にあわないと発芽しない特性をもっています。そのため、取り出した種は翌春まで乾燥させずに、低温で貯蔵しなければいけません。種を貯蔵するには、湿らせた砂と一緒にビニール袋に入れて冷蔵庫で保存すれば良いでしょう。
 播き時は翌年の2月から3月になり、赤玉土などに播けば20日ほどで発芽します。例外として、柑橘類や、マンゴーやアボガドなど熱帯果樹の種は、すぐに播いても発芽します。発芽後は野菜や花の管理と同様、水やりと肥培管理を怠らず、霜に当てないように注意すれば、上手に育てる事が出来ます。
 果樹を種から育てる事はとても根気のいることですが、家庭で果物を食べる時には、捨てるはずの種にも目を向けてみて、果樹の実生を楽しんでみてはいかがでしょうか?

2005年9月
農業技術センター 果樹振興センター
特産開発チーム  技師 植木勧嗣