注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

果実がみのらない原因は?

  「七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞかなしき」   兼明親王(かねあきらしんのう)
 
 皆さん、ご存知のとおりこの短歌は、訪ねてきた太田道灌(おおたどうかん)に、八重山吹の花を差し出し、「八重山吹は花は咲いても実がなりません。あなたにお貸しする蓑がありません(みのひとつだになき)」ということを伝えた歌です。

 農業情報・相談センターにも、果樹を植え付けて何年も経過するが花も咲かないし、果実も着かないという相談が多く寄せられます。県内では、熱帯、亜熱帯果樹を除くほとんどの果樹類が栽培可能ですが、果実がみのらない原因を考えてみましょう。


1.品種が明確であること。

 果樹類の中にはキウイフルーツなどのように雌雄異株で雄花しか咲かない樹、雌花しか咲かない樹があり、当然一方の樹のみでは果実がなることはありません。
 また、樹種によってはサクランボなどのように両性花は咲くが、自家不親和性と言って異品種の花がないと果実がならないという現象がおこります。さらに、この場合には相性があってどんな品種でもかまわないというわけではありません。苗木の植付け時にはしっかりとした品種名のラベル等をつけて後々の管理がしっかりとできるようにしょう。
2.結果樹齢に達していること。

 近年の果樹苗の多くは接木により繁殖させたものが販売されており、樹齢が不明確な場合が多いです。実をつけるには一定の樹齢が必要です。カキを例にあげれば、ことわざで言われているように実が成るのに8年もかからずに、4~5年でしょう。しかし、数多い果樹の中には、ユズなどのように、多少長く年月を要するものもあります。
3.結果習性を知っておくこと。

 結果習性とはどの枝の、どの部分に、花を咲かせるかという習性のことを言います。花を咲かせる枝を剪定したのでは実がなりません。
 したがって、剪定作業では残す枝、切り捨てる枝を見極める必要があります。さらに、一本の枝でもどの部分まで切り捨てるか、あるいは残すかを判断することが大切です。
4.樹勢が中庸に保たれているか。

 樹勢は、ほど良く保つ必要がありますが、例えば葉の緑色が濃い、葉が大きい、長い立ち枝が多く樹全体が茂り過ぎている、このような状態では樹勢が強すぎて実がなりません。この樹勢をコントロールする一番大きな要因は施肥量で、樹勢が強い場合には施肥量を減らす必要があります。
 樹に対しての施肥量は少なくても、隣接する園からの肥料吸収が多く、結果的に多肥となっている場合もあります。
 対策としては、立ち枝を水平に誘引したり断根、夏季剪定、はく皮等の方法があります。
5.受粉がうまく行われていること。

 自然界では風や訪花昆虫によって受粉されますが、風雨等の気象条件によりうまく行われない場合があります。このような時には、人工受粉をする必要があります。


2005年10月
農業技術センター 
農業情報・相談センター   主幹 脇本敬治