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くだものあれこれ カキ「富有」のはなし

 秋も深まり、山々も赤や黄色に彩られ、美しい季節になりました。また、カキ山も赤く色づき、「日本の秋」、「奈良の秋」の風情が漂ってきました。
 さて、現在五條市西吉野町(旧西吉野村)の果樹振興センターから赤く見えるカキ園は、主要品種の「富有」です。
 この「富有」は岐阜県原産といわれ、奈良県には明治40年代に農業試験場(当時)の中川技師らの視察をきっかけに、明治末から大正初めにかけて現在の五條市西吉野町や野原町周辺で栽培されはじめたといわれています。
 現在「富有」は現在全国で91,200tとカキで最も収穫量が多い品種です。その内奈良県では13,800t収穫されており、福岡、岐阜に次いで多く、全国シェアの約15%を占めています(平成15年産農林水産省生産局果樹花き課果樹農業に関する資料)。
 さて、なぜ「富有」は秋が深まると果実が赤く色づくのでしょうか?「富有」のように赤味の強い品種は、19~24℃くらいの涼しい温度帯が続くようになると、色素の一種であるカロチノイドのなかの「リコピン」といわれる朱色の物質が生産されるようになります。また、「リコピン」は光がしっかり果実に当たらないと生産されにくくなります。
 つまり、涼しくなるまでゆっくり大きくなって、その間太陽の光がしっかり当たって昼と夜の温度の差が大きくなり、はじめて「富有」は赤く色づくのです。
 今、果樹センターの周囲では、カキが赤く色づいて来ました。おいしい「富有」もそろそろ食べ頃です。
 ぜひ、「富有」をはじめとする奈良のおいしいカキをご賞味下さい。

カキ「富有」と柿博物館(五條市西吉野町)

2005年11月
農業技術センター 果樹振興センター
果樹栽培チーム 主任研究員 脇坂 勝