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冬を越すカキの病害虫

「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」という正岡子規の歌にもあるように、甘くておいしいカキは、奈良県を代表するくだものの一つと言えるでしょう。秋にはキズひとつ無いきれいなカキが、果物屋さんの店頭を彩ります。
しかし、皆さんの元にそのような高品質のカキが届けられるまでには、生産者の方々の一年を通した並々ならない努力がかくれているのです。そのひとつが、病害虫の防除です。

 カキには様々な病気や害虫が発生します。葉っぱを落として樹を丸坊主にしてしまう落葉病や、どこからともなく飛来して果実を台無しにしてしまうチャバネアオカメムシなど、恐ろしい病害虫も発生することがあります。
そして、本格的な冬を迎えた現在も、彼らは寒さを堪え忍びながら、活躍の機会を虎視眈々と狙っているのです。落葉病菌などは、カキの落ち葉中で冬を越します。チャバネアオカメムシは山中の落葉の下で、体を茶色に変色させて(越冬態)寒さに耐えています。

 また、カキの樹の一番外側のゴツゴツした樹皮(粗皮)の下で寒さをしのぐ害虫や、枝で越冬する病気もいます。そこで生産者の方々は、落葉を集めて焼却したり、粗皮を削り取ったり、病気の発生した枝を切除したりと、多くの重労働をこなさなくてはなりません。

 また、我々センター職員も県内30数箇所において、カメムシの越冬密度の調査を行っています。この調査により、ちょうどカキの幼果が被害を受ける来年初夏の発生状況を、ほぼ正確に予察することができます。
来年も皆さんにおいしくてきれいなカキをお届けするため、静かな冬空の下、病害虫との戦いはすでに始まっているのです。

チャバネアオカメムシの体色変化
 左 夏(緑色) 右 越冬時(茶色)

2006年1月
奈良県農業技術センター
果樹振興センター 作物保護チーム 技師 米田健一