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地球温暖化と柿

皆さんは最近、異常気象が多いと思いませんか?集中豪雨や異常高温、暖冬、異常低温など、各地で様々な被害が出ているのはご承知のとおりです。これらは地球温暖化が原因であるとも言われていますが、はっきりした根拠はありません。ただ、地球温暖化が様々な大気現象に影響を与えているかもしれないことは推測できます。これらの異常気象は私たち人間をはじめとする動物にとっては困ったことですが、植物にとっても大変迷惑なことです。今回は異常気象が柿に及ぼす影響についてお話ししたいと思います。
 まず、日照不足になると甘みが少なくなったり、病気が多くなったりして果実の品質が悪くなります。また、夏に乾燥と豪雨を繰り返すことによって、柿の根にストレスがかかり、収穫を待たずに果実が軟らかくなって落ちます。さらに、収穫期に高温が続くと、現在、渋柿の中心品種である「刀根早生」では着色が遅れたり、渋抜きを行うとすぐに軟らかくなってしまいます。平成16年には台風が10回も上陸して、奈良県では柿の被害は少なかったのですが、九州の産地では葉が落ちたり、木が折れたりして大きな被害を受け、次の年にも影響を残しました。
 奈良県では「刀根早生」のハウス栽培が行われていますが、加温を始める12月下旬までに暖冬や異常低温が続くと、加温してもなかなか発芽や生長せず、燃料費が無駄になるだけで、収穫時期も遅れます。この冬は異常な低温と大雪になりましたが、今後凍霜害などの被害が明らかになるかもしれません。これらは当然柿だけの問題ではなく、あらゆる作物にも言えることで、異常気象を引き起こす地球温暖化は私たちの食卓をも脅かす可能性を秘めているのです。
 地球温暖化は、エネルギーの大量消費による二酸化炭素の大量放出が原因であると言われています。原油価格が高くなっている昨今、住みやすく、おいしい食べ物を食べ続けるためには、今こそ私たち一人一人が省エネを考えて行動を始める良い機会なのかもしれません。

表 最近の異常気象
平成15年 夏の多雨・低温・日照不足、暖冬
平成16年 台風上陸10回、集中豪雨、暖冬
平成17年 夏の乾燥と豪雨、冬の異常低温・大雪

2006年3月
奈良県農業技術センター 
果樹振興センター 主任研究員 杉村輝彦