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お茶を使った草木染め

 皆様はお茶を使った染め物はどんな色を想像されますか。
 「茶色」の語句は平安時代の書物にもみられ、煮出したお茶の汁で染まった色が茶色でないかといわれています。食卓で使う布巾、茶道で用いる茶巾の色などです。

 この色はお茶に含まれる渋味のもと、タンニンの作用によるもので、このタンニンの力は強く、お茶を煮出した染色法では「茶色」にしか染まりません。このように草木染めは一般に植物体の色(花の色など)がそのまま出るのではなく植物が持っている色素と金属などが結合した色が発色し染め色になります。逆に云えばどんな色がでてくるか楽しみがあります。

 それではハンカチやTシャツなど簡単に染める方法を説明します。 お茶(どんなお茶でもよい)1kgを10リットルの湯の割合でで一時間以上煮詰め(長時間煮出した方が濃くなる)染液を作ります。お茶の種類や最初の煮出し加減で黄褐色から赤褐色まで変化します。

 タンニンはタンパク質と結び易い性質があるため、動物性タンパク質の絹はそのままで染まりますが、木綿・麻など植物繊維でできた布は染まり難く下処理が必要になります。最近では化学薬品の下処理剤が市販されています。

 煮立った染液の中に一度水に浸した布を30分程度煮染め、好みの色で染液から取り出し、水洗・乾燥します。このままでも十分色保ちしますが、長期間の使用(洗濯や日光)により多少退色します。より強固に染色する場合は、アルミや銅の薬剤で後媒染するとよいでしょう。アルミ媒染にはミョウバンや酢酸アルミなど、銅媒染には酸銅などの水溶液(布の5%前後の重量)に染色の終わった布を浸した後、水洗乾燥します。また、後染媒に鉄剤(酢酸鉄など)を用いると灰黒色になります。
 また、ハンカチなどに模様を付けるには、染液に浸す前の布を糸やゴム輪で縛り付ける、又は折りたたんだ布を丸や四角の板で挟み込むことで染液を染み込ませないように工夫すると、その部分だけが白く残ります。

 お茶に含まれるタンニンは抗菌性や脱臭性など機能性成分として見直されており、天然染料による染め物として活用されてはいかかがでしょうか。

2000年10月
奈良県農業技術センター 総括研究員 小野良允