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煎茶の製造について

 緑茶の中でみなさんが最も日常的に飲まれているものを煎茶といいます。この煎茶が、どの様にして製造されるかご存じでしょうか。煎茶の製造は江戸中期に始まるといわれています。それ以後明治中期までは、手摘みした茶葉を手揉み(写真)で製造していました。現在では、茶葉の摘み取りは一部を除いて茶刈り機を用いた機械摘みで行われ、製造は手揉み工程の理論を取り入れた製茶機械による機械揉みで行われています。昔と今の能率を比較すると、摘み取りは、手摘みでは一人1日がかりで茶葉9kg程度だったのに対して、機械摘みではその60~90倍もの能率で収穫できます。製造は、手揉みでは一人1回3~6kgの茶葉を約3時間半かけて揉み上げ、なおかつ大変な重労働だったので一日3回が限度でした。機械揉みでは1回に通常120~240kgの茶葉を処理できます。

 機械揉みは、一般に7種類の製茶機械を用いて行われ、この7つの機械を順にお茶の葉が約3時間半かけて通過します。機械から機械への茶葉の輸送は自動移送機で行われ、順次送り出すことにより1日8~10回の処理ができます。
 刈り取った茶葉は、できるだけ速やかに処理されるのが望ましく、その日のうちにに製造されるのが普通です。直ちに処理できない場合は低温、高湿度で保存します。

 製造工程を簡単に説明しますと、最初に刈り取った茶葉に高温の蒸気を40~60秒程度さらします。これにより葉の中の酵素の活性がなくなり酸化反応が止まり、茶葉が柔軟になるとともに葉色の緑色が保持されます。その後、熱風などで乾燥させていくとともに力を加えて順次整形を行うことで茶葉が細くよれた針状の形になります。

 7種類の機械を通り終えた茶葉を「荒茶」といいます。荒茶の段階での重量は水分が除去されたことから製造前の約1/4~1/5になります。この荒茶をお茶屋さんが買い取り、乾燥(火入れ)、ふるい分け、色彩選別、切断などを行い、茶葉の大きさ、品質等に基づいて分類したものが店頭に並びます。
 奈良県では5月中・下旬あるいは7月上旬がお茶の時期となっています。もし、機会があれば製茶工場をのぞいてみませんか。

2001年9月
奈良県農業技術センター 茶業振興センター 
加工チーム 研究員 和田達哉

手揉みによる製造の風景