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緑茶飲料うらばなし

 20年ほど前まで、飲料として売られているお茶といえば、駅弁といっしょにあった、かわいらしい取ってのついたボトルに入って、キャップを湯飲み代わりにして飲むものぐらいではなかったでしょうか。

 それが、昭和56年に世界初の「缶入りウーロン茶」が日本で開発・発売されて以来、緑茶飲料、麦茶飲料、ブレンド茶飲料とその種類を増やし、500mlペットボトルの登場により携帯して好きな時に飲める便利な飲み物として、今ではすっかり私たちの生活の中に定着しています。

 ところで、日本では中国のお茶としてウーロン茶がはじめに浸透したので、「中国ではみんなウーロン茶を飲んでいる」と思われがちですが、実は中国でも一番よく飲まれているお茶は緑茶なのです。ただし、日本のお茶とはその製法が違います。日本の緑茶は茶葉を一気に蒸すことで発酵を止めるのに対して、中国緑茶は茶葉を釜で炒って発酵を止める「釜炒り茶」です。

 数ある茶類ドリンクの中で、最近特に需要を伸ばしているのがこの緑茶ドリンクです。その背景には、緑茶に含まれているカテキンやポリフェノールにガンや血中コレステロールの抑制などの効用があるといわれ、健康志向の消費者が受け入れ始めていることにあると考えられています。

 しかし、これだけ緑茶ドリンクの生産量が増えているにもかかわらず、緑茶の国内生産量は90年代以降、8~9万トンの間でほぼ横ばいです。それに対して、緑茶の輸入(特に中国から)は、2千トンから1万8千トンと急激に増加しています。

 輸入緑茶はおおむね1キログラム300円前後ですが、これは国内産緑茶の秋冬番茶の価格と同等です。国内茶が生産性を高めるため価格の高い1、2番茶中心に移行していった結果、緑茶ドリンクのブレンド用下級茶が不足し輸入緑茶が増加したと考えられています。最近では「中国緑茶」と称して、中国の釜炒り緑茶を日本人の好みに合わせて飲みやすくした緑茶ドリンクも販売されています。

 奈良県も全国第6位のお茶の生産県です。地元産のお茶を使ったペットボトル入り「奈良やまと茶」がJAならけんグループの大和茶販売(株)より販売されています。ぜひ一度ご賞味下さい。大和高原のさわやかな風を感じることができるでしょう。
2002.8
奈良県農業技術センター 研究企画課 経営情報係
総括研究員 黒瀬 真