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品評会のお茶作り

関西のお茶の産地では毎年5月の上旬、関西茶品評会へ出品するためのお茶(以降出品茶と書きます)作りの最中になるかと思います。関西茶品評会は愛知県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、兵庫県、高知県それに奈良県の関西およびその周辺の8府県で順番に行っており、今年は奈良県で開催されます。開催の目的はこれら8府県の茶生産農家の生産技術向上と品質向上として行われており、今年で57回目をむかえます。品評会では普通煎茶、深蒸煎茶、かぶせ茶、玉露、抹茶の原料となるてん茶の5つの茶種ごとに優劣を競います。出品点数は各茶種合わせて千点近くにもなります。

出品茶は、一般に流通するお茶と違い、5つの茶種それぞれの頂点を目指し、採算を度外視して、最高の技術で最高のお茶を作ります。奈良県では、通常お茶を収穫するのは機械ですが、出品茶の場合は手摘みが主となります。摘み取りは一芯二葉摘みといって、お茶の新芽の葉が3枚から4枚開いた頃に行います。先端のこれから葉のもととなる芯がある状態で、上から二枚目の葉のつけ根から手指で丁寧に折るようにして摘みます。品評会では、お湯で浸出した時の味や香り、水の色あい以外に、できあがったお茶の形や色つやなどの外観も重要な審査項目となります。ですので大きな芽も小さな芽も一度に収穫してしまう機械よりも、同じような大きさの芽を選んで手摘みを行い、製造したほうが形がよく揃います。品評会に一点出品するためにはこの方法でおよそ35kg摘まなくてはなりません。機械で35kgを収穫するのはすぐですが、手摘みだと一人一時間当りおよそ200g程度しか摘み取ることができません。しかも摘み取りに時間をかけすぎるとできたお茶の品質が悪くなるので、50人ぐらいで、3時間程度で摘み取る必要があります。そして、できたお茶はたったの4kgぐらいとなります。他にも圃場管理や製茶にかかる費用を考えるととてつもなく高値のお茶になりますが、採算を度外視して出品茶を作るのは、関西茶品評会で頂点を極めることの名誉だけでなく、生産者が自分自身の技術を磨き、最高のものを作りたいという意欲の現れだと思われます。

品評会

2004年5月
奈良県農業技術センター  茶業振興センター
 茶栽培チーム 主任研究員  宮本 大輔