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お茶の味

 皆さんはお茶(緑茶)を味わって飲まれたことがありますか。日頃何気なく飲んでいるお茶ですが、気をつけて味わってみると渋味の中にかすかに甘味が加わっていることに気がつかれると思います。さらに真剣に味わうと、苦味と渋味、うま味と甘味があることに気がつかれるかもしれません。最近の分析機器の発達によりお茶の成分も詳しく調べられており、お茶の味と化学成分の関係についてかなり判っています。これらの味のうち、苦味と渋味はカテキン、カフェインで、うま味や甘味はアミノ酸類、糖類によるものです。カテキンはタンニンの1種ですが、お茶のカテキンは渋味が弱く、温和なさらりとした苦味が特徴です。アミノ酸類はテアニン、グルタミン酸であり、糖類はしょ糖、グルコースなどです。
 お茶の味には様々な要素が関係しています。まず茶の葉ですが、奈良県では主に茶葉を年2~4回摘採します。摘み採る時期によって葉の中に含まれる成分は異なり、その結果味も異なります。5月に摘む1番茶はアミノ酸類を多く含むためうま味が多く、2番茶や番茶はアミノ酸が少なくカテキンが多いことから、さわやかな渋味があります。次にお茶の入れ方ですが、茶を入れるお湯の温度は高いほど、うま味成分(アミノ酸類、糖類)や苦渋味成分(カテキン、カフェイン)の溶出量が増加します。一方お湯の温度が低いと苦渋味成分はあまり溶け出しませんが、うま味成分は時間の経過と共に溶け出してきます。この性質を利用して、高級茶のまろやかなうま味は40~50℃の低温で5分以上、番茶の爽快な渋味は95℃以上の熱湯に2~3分で入れると、それぞれの茶葉の特徴を引き出すことができます。また高級茶は1回目は低温で入れ2回目は高温で入れると、1つの茶葉でうま味とさわやかな渋味の2つの茶を味わうことができます。
 一般に緑茶は苦味と渋味、うま味と甘味の調和がとれ、後味に清涼感のあるものが良いとされています。しかしお茶は嗜好品で、おいしいと感じる味は人と時により異なります。お茶を単なる水分の補給の手段としてではなく、お茶の色や香気を楽しみ、味わって飲んではいかがでしょうか。それはおとなの愉しみの世界です。

写真 刈り取り時期の異なる茶葉で製造した茶
    (左より二番茶、夏茶、秋茶)
2005年1月
茶業振興センター
総括研究員 堀本圭一