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ハモグリバエの話

 ハモグリバエ(葉潜りバエ)の中には,ナモグリバエ,ナスハモグリバエなどがいますが,現在の農業場面では海外から侵入してきたマメハモグリバエが問題となっています。トマト,ナス,キクなどに好んで寄生します。キクでは葉も商品の一部ですので防除に気を使います。トマト,ナスでは,果実を直接加害しないものの,大発生すると食害で葉が白くなり落葉して影響が出ます。

 マメハモグリバエは,露地で5月頃から発生がみられます。3月頃にエンドウなどで見られるハモグリは別の種です。しかし,この海外からの招からざるマメハモグリバエにも,日本には天敵である寄生蜂がおり,化学農薬を使用しないと6月に入ればほぼ制圧されてしまいます。日本在来のハモグリバエの寄生蜂が,海外からのマメハモグリバエにも寄生するのです。

 農薬を使用しなければ,自然に寄生蜂が発生してくるわけですが,ハモグリバエの発生が少ないと密度が低く,また発生する時期も限られており,自然発生では天敵としての働きを期待するのは無理です。

 最近,環境問題がよく取り上げられますが,化学農薬に対して生物農薬は環境への負荷が少なく,その最たるものが天敵の昆虫を人工的に増殖し,農薬として扱うものです。

 マメハモグリバエに対しては,昨年12月に天敵の寄生蜂を1ボトルに2種各125頭ずつ入れたものが農薬として登録されました。しかし,これらの天敵寄生蜂はオランダで飼育増殖されたものです。もともと日本にいる寄生蜂を増やして放飼すれば良いのですが,日本では増殖技術がありません。そこで,日本の寄生蜂をオランダへ持ち込んで増殖することも検討されています。

 寄生蜂などの天敵を利用する場合は,化学農薬は影響があるので使用できません。そのため,天敵が対象としない他の害虫が発生しないように管理しなければなりません。

 今後は,天敵と化学農薬双方の長所を生かし上手に組合せた使用体系を組み立てる必要があります。

1998年3月
奈良県病害虫防除所 主任研究員 西野精二