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減農薬への取り組み

日本では、夏から秋にかけて高温で雨も多いため、農作物に病気や害虫が多く発生します。このような条件で、農薬を使用しないで農作物を栽培すると、外観が悪くなり、収穫できる量も少なくなってしまいます。奈良県農業技術センターでは、「少ない農薬の使用(減農薬)で、高品質・高収量を確保できる農業」を目標にした研究をしています。今回は、夏秋野菜の代表であるナスで、減農薬への取り組みについて紹介します。

 まず、効果の高い農薬の散布法について研究しています。減農薬の実現には、農薬散布の原因となる病気や害虫の発生を抑えることが重要ですが、1回の農薬散布で、高い効果を得ることも大切です。その理由は、効果が低いと、それを補うために農薬を繰り返して散布する必要があるからです。ナスでは、一般に図1の左の方法で散布されています。この方法では散布竿を振る間隔が広いので、農薬のかからない部分が多く、散布むらが起こりやすくなっています。これに対し、図1の右の方法では散布竿を振る間隔が狭いので、散布むらが少なく、効果が高いので、散布の回数を大幅に減らすことができ、減農薬になります。

 次に、ナスの草姿を管理する方法(整枝法)について研究しています。これまでナスの整枝法には、図2のV字型とU字型の整枝法がありました。これらの整枝法は高い収量をあげることを目的として開発されており、過密状態で栽培されるため、葉や茎が混み合った状態になっています。これでは、農薬を散布しても、通路側の茎葉が障壁となって、ナスの内部には農薬が届きません。この結果、農薬の効果が低くなってしまいます。そこで、音叉型整枝法という新しい整枝法を開発し、研究を進めています。この整枝法では、通路に面した2列の茎葉の間隔が狭いので、内部に届かないということがなく、農薬の高い効果が得られます。また、この整枝法は農薬散布や収穫の作業を行う通路の幅が広いので、これらの作業が楽にでき、生産者に優しい栽培法になっています。

 このように、減農薬を進めるためには、農薬を散布したときに、高い農薬の効果を得ることが大きなポイントになります。これからも、さらに減農薬を実現するため、研究を重ねていきたいと思っています。
2001年11月
奈良県農業技術センター 環境保全チーム 総括研究員 谷川元一