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病害虫防除は駆除でなく予防で

農作物にとっての病原菌や害虫は植物体を侵すため、人間でいう伝染病に当たります。そこで、病害虫が発生した時には、殺菌剤や殺虫剤でこれらの原因を駆除しすることが一般に行われて、普通はこれを病害虫防除といっています。
人間でも伝染病にかかったときにはお医者さんに診てもらい、適切な薬で、体の中の病原菌を駆除することもありますが、最近では、病原菌が体に入らないように、また、入っても抵抗力を付けて発病しないような衛生管理や、予防が大切であるといわれています。
植物を育てる時にも、この予防が効果的な手段の一つとなります。現在のように農薬が発達していなかった大正時代以前では予防が主な病害虫防除手段でした。この予防方法には、大きく分けると次の3つがあります。

1.病害虫の伝染源を断つ。
  栽培後の土壌を太陽熱や、蒸気を利用して消毒し、病原菌、線虫、土壌害虫を死滅させます。病害虫の住 
  みかとなる圃場内外の古葉や枯れ枝を除去し、伝染源を断ちます。 また、目の細かいネットの被覆や果実
  に袋を掛けて比較的大型の害虫(ハスモンヨトウ等)の侵入を防ぎます。

2.周辺の病害虫の密度を下げる。
  同一種や近縁の作物連続して栽培せず、土壌は深く耕して、線虫、萎黄病、白絹病の被害を軽減し、周辺
  の除草をこまめに行って病害虫の密度を低くします。

3.病害虫の被害を受けにくい栽培管理を行う。
  病害虫の被害を受けにくい品(抵抗性品種)を用い、病害虫の発生が少ない栽培時期 を選び、軟弱徒長に
  育てない用にします。また、ワラポリエチレンフィルムで土の表面を被覆し、雨滴による跳ね返りを防ぎ野菜
  のべと病等の発生を抑えます。雨よけや通気 性を良くすることは野菜の疫病、炭そ病等に効果的です。

これらの方法は、予備的で原始的な方法のように思われますが、予防は最大の防除方法です。火事は発生してから消火してもその被害は大きく残り、とにかく防火に務めることが大切です。農作物も病害虫の被害を受ければその痛手は大きく残ります。農薬による病害虫の予防方法もありますが、農薬をできるだけ使いたくない方々にお勧めの手法です。
ネットの目合いと侵入防止に有効な害虫の種類


ネット目合い 害虫の種類
0.6~1mm アザミウマ類、キスジノミハムシ、アブラムシ類、ハモグリバエ類、コナガ類、コナジラミ類等
3~4mm シロイチモンジヨトウ、チャバネアオカメムシ等
4~6mm ハスモンヨトウ、ヨトウガ、オオタバコガ、クサギカメムシ等
10mm アケビコノハ、アカエグリバ、ムクゲコノハ類
雨除け栽培によって発生を抑制できる病害
作物名 病害名
トマト 疫病、斑点細菌病、かいよう病
キュウリ べと病、立枯性疫病、炭疽病、褐斑病、斑点細菌病
メロン べと病、炭疽病、斑点細菌病
スイカ 疫病、炭疽病
カボチャ 疫病、斑点細菌病
ホウレンソウ べと病、立枯病、株腐病
シュンギク べと病
アスパラガス 茎枯病
イチゴ 炭疽病、疫病
ブドウ べと病、灰色かび病、晩腐病、苦腐病
キウイ 軟腐病、花腐細菌病
2002.4
奈良県農業技術センター 統括主任研究員 瀬崎滋雄