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やっかいな植物のウイルス病 

現在、植物に感染するウイルスは世界中で950種以上が知られており、国内では300種以上が確認されています。これらのウイルスは、主に葉のモザイク模様、黄色の斑紋,褐色の斑点や輪紋,新芽の黄化、奇形、すくみなど様々な症状を引き起こします。
その結果、農作物は生育不良となり収穫量が減少したり、味や見た目が悪くなってしまいます。多くのウイルスはアブラムシによって媒介されますが、この他にもアザミウマ、コナジラミ、センチュウあるいは土中のカビによって移るものもあります。一方、大変まれですが、虫などでは移らず植物どうし、あるいは人間も含めて動物が触れることによって移ったり、汚染された土で移るウイルスもあります。ウイルス病に効く農薬はありませんので、一旦ウイルス病が発生すると周囲に広がらないように早めに抜き取って処分するしかありません。

それでは、ウイルス病を予防するにはどうすればよいのでしょうか?。まず第一にウイルスに汚染されていない種苗を利用することです。特に親株からランナーや挿し木で増やすイチゴやキクなど、あるいは種イモや球根で増やすイモ類や花などでは、ウイルス病が疑われる場合は、そのまま親として使わずに無病の親株に更新します。

第二に疑わしい症状のものがあれば迷わず早めに抜き取ってしまうことが大切です。ほとんどのウイルスは植物が枯れると伝染することはありません。また、周囲の雑草が伝染源になることもありますので日頃から除草に努めることも大切です。

第三にウイルスを運んで移す前述の昆虫などを防除することです。虫が付かない様にネットで被覆したり,農薬を散布して防除します。アブラムシの場合は、有翅虫の飛来が多い4~5月と9~10月を中心に防除します。土壌中のセンチュウやカビで移るウイルスの場合には、輪作するか土壌消毒する必要があります。

第四にほとんどのウイルスは、整枝や摘心、収穫などに使用するハサミを通じて汁液伝染する可能性がありますので、ハサミを消毒したり、発病の疑いのある株の作業は最後に回します。この様に実際にウイルス病を予防することはとても大変で、注意を怠ると多発して大きな被害につながります。

どんな病気でも伝染源を断つことが予防には最も有効ですので、農家の方々はもちろんですが家庭菜園等でも周囲に迷惑をかけないよう日頃からおかしな株があれば放置しておかず、早めに抜き取る様にして下さい。
2002.4
奈良県農業技術センター  病害防除チーム 
主任研究員  西崎仁博