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洗濯物カメムシ類

 「カメムシ」といえばあの独特の臭い。大抵の人が大嫌いな虫の1番に挙げるでしょう。我々の虫害防除チームは、日頃農作物の害虫を取り扱っていますが、それ以外にも、時折人家周辺に飛来するカメムシに関する苦情や問い合わせの電話がかかってくることがあり、最近被害件数が増加しているように思われます。農作物に被害を与えるカメムシの場合は、加害する作物の種類によってグループ分けしています。果樹を加害するカメムシは「果樹カメムシ類」、米に小さな黒斑点を作るカメムシは「斑点米カメムシ類」という具合です。そこでこれにならって、人家にたくさん飛来してきて、悪臭などの被害をもたらすカメムシを、私は「洗濯物カメムシ類」と呼んでいます。なぜ「洗濯物」なのかというと、洗濯物にくっ付いて悪臭がこびりついてしまうという被害の報告が最も多いからです。

 洗濯物カメムシ類にはたくさんの種類のカメムシが含まれているようですが、その種類構成や被害の実態はあまり詳しく調べられていないようです。今までの経験上、最も重要と考えられる種類は、クズなどのマメ科植物を食べる、マルカメムシという体長5mm程度の巾着形をした小さいカメムシです。体色は緑褐色のまだら模様で、小さな体に似合わない強烈な臭いを出します。また、最近はチャバネアオカメムシも増えているようです。このカメムシは、スギ、ヒノキで増殖し、特に夏以降は果樹園に飛来して加害することもあります。

 洗濯物カメムシ類に関する問い合わせは特に秋に多くなります。おそらく普段は餌植物の上でおとなしく暮らしているカメムシが、秋に越冬場所に向けて大量に移動を始めた時に、人家の灯りや洗濯物や壁の色に引かれて寄ってくるのでしょう。時々「どんな殺虫剤が効くのか?」という問い合わせがありますが、家の周りで殺虫剤をたくさん使うのはあまり関心できませんし、移動時期に続々と飛来してくるカメムシに対しては、しょせん「焼け石に水」という気もします。カメムシは、しつこく突っつき回したり殺虫剤をかけると匂いを出しますが、指先でピンとはじいて取ってしまえば、匂いを出す間もありません。またカメムシの匂いは人体に悪影響はありませんし、慣れた人は気にもしていません。しばらく我慢していれば冬にはおさまりますので、あまり神経質にならずに、これも秋の風物詩と考える心の余裕を持つことが、最も有効な対策と思います。
2002.7
奈良県農業技術センター 環境保全担当
虫害防除チーム 井村岳男