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ちょっと変わったテントウムシ

 テントウムシは、誰もが知っている最も身近な虫です。春先によく見かけるナナホシテントウは、絵本などにもよく出てきますので、子供が最初に覚える虫の一つではないでしょうか。少し詳しい人ならば、テントウムシは農作物などの害虫であるアブラムシ(アリマキ)を食べる益虫であることもご存じだと思います 。

 さて、わが国には150種類以上ものテントウムシの仲間がいます。アブラムシを食べるものだけではなく、ニジュウヤホシテントウ類のようにジャガイモやナスの葉を食べる害虫もいます。今回はそんなテントウムシの仲間のうち、身近にたくさんいるにも関わらず、一般にはあまり知られていないちょっと変わったテントウムシを紹介します。

1.カイガラムシを食べるアカホシテントウ
 樹木類にはカイガラムシと呼ばれる害虫がつきます。庭木などに、硬い殻で覆われたカイガラムシがびっしりこびりついてしまい、排泄物に生えたカビで周りの葉が黒く汚れたり、枝ごと枯れてしまった経験を持つ人もいると思います。なかでもタマカイガラムシは大型で殻も硬く、庭先の梅で大発生しているのをよく見かけます。しかしこんなカイガラムシを専門的に食べるテントウムシがいることは意外と知られていません。このテントウムシはアカホシテントウ(写真)と呼ばれ、少し大型で、黒地に赤い縦長の斑紋があります。蛹は毛虫のような不気味な姿をしており、時々樹上で群生するので、害虫ではないかと驚かれる事もあります。

2.うどんこ病菌を食べるキイロテントウ
 うどんこ病菌は、様々な植物を加害するカビの仲間です。今頃の季節には、カボチャやキュウリの葉が白い粉を吹いたようになっているのをよく見かけますが、これがうどんこ病です。このうどんこ病のカビを食べるのがキイロテントウです。キイロテントウは体長5mm程度の小型のテントウムシで、美しいレモン色をしているので、すぐに分かります。どこにでもいる虫なのですが、これも意外と知られていないようです。

 以上の2種のテントウムシは農薬に弱いため、農薬散布をしている畑で見かけることは滅多にありません。しかし、環境保全型農業を進める中で、農薬散布量を減らしていくためには、このような自然の天敵類の働きをいかに高めていくかが、ポイントになると思われます。
2003.7
奈良県農業技術センター
 環境保全担当虫害防除チーム 主任研究員 井村岳男