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身の回りの危ない生き物

夏休みに海や山へ出かける計画をお持ちの方も多いと思います。楽しい時間を過ごすために是非注意してほしいのが、野外にいる危ない生き物です。
 危ない生き物と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは「マムシ」などの毒ヘビや「クマ」などの大型獣でしょう。しかし、実際にこれらに遭遇する機会はまれです。意外なことに、もっと身近で事故も多く危険なのが「ムシ」なのです。スズメバチによる死亡事故は年間数十件起こっていますし、恙虫病(つつがむしびょう)の媒介者として知られるツツガムシや、マダニ類も古くから知られる危険な「ムシ」です(厳密にはダニは昆虫ではありません)。
 また、死に至ることはありませんが、チャドクガやイラガの幼虫に触れて赤く腫れ上がった記憶のある人も少なからずいらっしゃるでしょう。血を吸いにくるアブやカ、有毒な分泌液に触れると皮膚が腫れるカミキリモドキ類やアオバアリガタハネカクシなどなど、数え上げるときりがないくらい野外にはかなりの数の危ない「ムシ」が潜んでいます。
 子供達が野山で遊びまわっていた時代には、これらの危ない「ムシ」に痛い目に遭わされて、どの「ムシ」が危ないのか、刺された時はどうするのかを自然に身につけてきました。しかし、今では野外で遊ぶ機会も減り、危ないものとのつきあい方を身につけるより危険なものは排除してしまうという考え方の人が多くなりました。これら危険な生き物も毛嫌いされるばかりで、彼らのことを知ろうとする人はほとんどいません。
しかし、自然を排除し、「ムシ」と接することのない清潔で快適な生活をそのまま野外に持ち込むことはできません。野外を訪れる以上は人間の方が自然に合わせなければならないのです。危ない生き物でも多くの場合、彼らの方から積極的に攻めてくる訳ではありません。野外活動をするのにふさわしい服装や装備をし、謙虚に自然と接すれば、危ない生き物にやられることはほとんどありません。野外での一時をこれら危ない生き物も含めた様々な生き物を観察し、触れ合う機会として過ごされてはいかがでしょうか。

チャドクガの発生

2004年7月 
奈良県農業技術センター 
環境保全担当 総括研究員 國本 佳範