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”備えあれば憂いなし”
-農作物の病害防除にも危機管理意識が大切-

 野菜や花の病害防除に関する相談では「病気が出てしまったのですが、どんな薬をまけばよいでしょうか?」とか「どの薬が一番よく効くでしょうか?」と言う質問をよく受けます。農作物の病害防除に使われる殺菌剤は、病原菌のカビや細菌が作物の体内へ入らない様に予防するものが大半を占めています。作物体内での病原菌の増殖や移行を防ぐ治療的な効果のある殺菌剤も一部にはありますが、病気が広がって菌密度が高くなってしまった後や、病気の出やすい環境の下では効果を十分に発揮することが出来ないばかりか、薬剤が効かない耐性菌の出現を招くこともあります。
 
 病気の発生には3つの要因が関係しています。
1.病原菌が存在し、2.病気にかかり易い作物が植えてあり、かつ3.発病しやすい栽培環境の3つがそろった時に初めて病気は発生します。
裏を返すとこの3つの要因を1つでも取り除くか、少なくすることが出来れば病気の発生を防ぐか、あるいは被害を最小限にくい止めることが出来ます。

それぞれの要因に対応した具体的な病気の防除方法の例をあげると、
1.病原菌の密度を上げない様に同じ作物を連作せずに輪作するか土壌の消毒を行う。病気が発生する前から
  の殺菌剤の予防散布と発病株の処分を徹底する。
2.病気にかかりにくい品種や台木を利用する。
3.排水のよい圃場で、肥料は控え目に、混み合わない様に栽培して風通しと日当たりを良くし、適切な温湿度
  管理(必要に応じて雨よけや日よけ栽培)を行う。
ことなどです。
 
 最近メディアでよく取り上げられている地震・洪水などの災害対策、テロ対策、原発の事故防止対策などでは、危機管理のための体制整備と危機意識を持つことが重要とされていますが、正に病害の防除においても同じことが言えます。一旦病害が発生してからでは、農薬の使用回数が増え、手遅れになる場合もあります。農薬の使用回数を必要最小限に抑え、より安全・安心な農産物を生産するためには、病害の発生を想定し、病気が発生・拡大しにくい栽培環境を事前につくることが最も重要なことです。
病気の発生要因
2004年8月 
奈良県農業技術センター
環境保全担当 病害防除チーム 総括研究員 西崎 仁博