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地域ぐるみで取り組むトマトの新ウイルス病対策

 シルバーリーフコナジラミは、海外から侵入してきた害虫で、アブラムシやセミの親戚にあたる虫です。奈良県でも、1990年頃より発生が確認されています。これまでは、ハウス栽培の花や野菜で、この虫の排泄物に発生するすす病により作物が汚れたり、葉や果実の一部が白くなる異常症が問題となっていました。このような被害が問題になるのは多発した時だけですので、これまでは増えてきた時に農薬を散布したり、天敵を利用して発生しすぎないように管理する程度でした。
 しかし、最近、この虫が媒介するトマト黄化葉巻病というウイルス病が、東海、九州地方を中心に発生しています。このウイルス病はその名の通り、生長点付近の新しい葉が黄色くなりながら葉が下へ巻き込んでくる病気で、ひどくなると株全体が黄化し、萎縮してしまいます。現地ではこのウイルスによる被害がトマトなどで大きな問題となっており、対策が一変しました。このウイルスを持っているシルバーリーフコナジラミがほんの数匹いるだけでもウイルス病が発生する恐れがあるので、徹底的に防除しなければならなくなったのです。
 そのため、農薬の散布だけでなく、植付け時に粒状の農薬を土壌に処理したり、ウイルスの伝染源となる発病トマト株の処分やシルバーリーフコナジラミの増殖源となる雑草の管理を徹底したり、防虫ネットや虫がきらう紫外線除去フィルムをハウスに張って侵入を防止したりしています。特に、育苗期や栽培していない期間の管理がこれまで以上に重要になっています。また、何よりも、地域全体で対策に取り組むことが非常に大切です。ある生産者がきっちり防除対策を行っていても、隣の生産者がいい加減だとウイルスは広がってしまいます。また、家庭菜園のトマトでもウイルスが発生した株を放置しておくと、その地域の発生源となってしまいます。そして、トマト以外の作物でシルバーリーフコナジラミを多発させていたり、地域の雑草管理が行き届いていないと、ウイルスが発生しやすくなります。そのため、東海や九州地方では、地域全体で対策に取り組んでいます。

 現在、奈良県内ではこのウイルス病はまだ発生が確認されていませんが、すでに隣接する三重県や和歌山県で発生の報告があり、特に県外から購入した苗を用いる場合には警戒が必要です。もし、怪しい株がありましたら、すぐに引き抜いて処分してください。一度ウイルスが地域にまん延してしまうと根絶が非常に難しくなりますので、皆様にもご協力をお願いします。


シルバーリーフコナジラミの図
シルバーリーフコナジラミ成虫
体長約0.8mm
翅と翅の隙間が空いていて体が見える
翅は白色で、体色は黄色


2004年12月
奈良県農業技術センター
環境保全担当 虫害防除チーム 松村 美小夜