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IPMってなんだろう?

 IPMという言葉をお聞きになったことはありますか?農業分野で最近よく使われる言葉で、我が国では総合的病害虫管理のことをいいます。なんだか難しい言葉に聞こえますが、簡単に言うと、害虫や病気を退治するためにいろんな技術をうまく組み合わせ、作物の安定生産・出荷に影響のない程度の発生におさえる栽培管理のことです。 近年、農産物や環境の安全に対する社会的関心が高まる中で、農薬の使用を必要最小限にするIPMの推進に向けた取り組みが進められています。今回はそのIPMをわかりやすくお話してみたいと思います。

 IPMを構成している個々の防除技術の中には、昔から農業を営む中で行われてきた基本的なものがたくさんあります。たとえば、「周囲の雑草で増える病害虫が田んぼの稲へ移るのを防ぐために、畦の草刈りをきちんとすること」や「病気にかかりにくくするため、野菜の株元へ稲ワラを敷いて土の跳ね返りを防ぐ」などの農作業もその一つです。現在では稲ワラに代わってマルチなどの農業資材ができ、機能性や作業性もアップし、その防除効果も上がっています。しかし、病害虫の発生後に散布してもその効果が目に見える農薬とは違い、これらの作業は病害虫の発生前に行う予防的な技術です。生産現場では労力的に余裕がなくなってくると、ついつい後回しになったり、なおざなりになりがちです。しかし改めてその作業の重要性を見直す必要があると思います。
 また、最近は作物自体に病害虫に対する抵抗性を持たせた品種や土壌病害が発生しにくい台木なども多く開発され、手に入れることができます。これらの品種や台木を採用することで、特定の病害虫にかかりにくくすることができます。また、天敵の利用や、夏場の太陽熱などを利用して土や資材を消毒する技術もあります。もちろん効果の高い化学農薬を上手に使用することも重要な防除技術の一つです。

 このようにIPMに利用できる個別技術は、農薬の散布以外にも、昔からの基本的な技術から近年開発された新しい技術まで数多くあります。IPMとはこれらの技術を組み合わせ、より効率的かつ安全に農作物の病害虫管理を行なおうとするものなのです。その結果、むやみに化学農薬を使用せず、環境にも人にも優しい農業を実現できるというわけです。
 みなさんも「病害虫が出たら農薬をまけばいいわ」という意識だけではなく、環境にも人にもやさしいIPMを身近なところから考えてみませんか。

アリガタシマアザミウマ
( アザミウマを補食する天敵)
2005年3月
農業技術センター
病害虫防除チーム 主任研究員 吉村あみ