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秋の鳴く虫が、柿を食べる

  桜並木を歩いていると、チリリー、チリリーとムシの鳴く声が聞こえます。スズムシやコオロギなら草むらから聞こえるのにと、不思議に思っていますと、緑色の舟形をした大きなムシが樹の幹で鳴いていました。それはアオマツムシでした。この虫は、中国から来たした昆虫で、コオロギの仲間ですが体色は茶色ではなく緑色をしています。既に1990年頃には東京で見つかっており、都市近郊の街路樹や雑木林を中心に住み着き、今も広がりつつあります。インターネットなどで虫の愛好家が写真を載せていますし、鳴く虫の観察会などでも見つけやすい虫です。最近は、温暖化の影響で、新潟県や福島県まで北上しており、どこまで拡大するのか注目されています。

 今年の9月に、五條市の柿園で果実に半円球状にくぼみを残すように食べた跡が見られ、オオタバコガの食害ではないかと農林振興事務所に相談がありました。普及員がカキ園でアオマツムシを捕獲し、アオマツムシの被害であることを確認しました。平成12年には岡山県で渋カキ、甘カキに関係なくアオマツムシの食べた果実が見られ、松本早生富有、富有、西村早生等での被害が見られました。ハスモンヨトウの食べ痕によく似ていますが、虫糞がなく、色づきはじめた果実が食べられます。成虫は8月中旬から発生をはじめ、9月中旬に最も多くなり、早生カキに被害が多くなる傾向にあります。

 雑木林や放任果樹に多いサクラやウメ、ムクゲ、ケヤキ、エノキ、プラタナスなどの枝や樹皮に産卵し、幼虫は5月頃に現れます。カキではあまり産卵されないようです。カメムシと同じように、カキ園以外で増えて移動してくる害虫です。柿園周辺に多いウメは主要な発生源となっていると思われます。梅の枝に産卵するため、枝が折れやすくなり、多発生すると問題になります。

 外国からやってきたアオマツムシですが、メキシコからやってきたコスモスと同じように日本の秋の風情を作る主役になりそうな虫です。サクラやケヤキなどの街路樹では大きな被害がないので防除の必要はないと思われますが、柿や梅栽培では今後警戒が必要な虫です。



2005年11月
農業技術センター 果樹振興センター
作物保護チーム 総括研究員 福井俊男