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病害虫の発生予報をご存知ですか?

天気予報は普段の生活の中で、雨が降りそうだからかさを持って行こうとか、ちょっと寒くなるから上着を着ていこうとか、毎日のように利用している人も多いでしょう。同じ予報でも作物の病気や害虫(あわせて病害虫と言います)の発生に関する予報があるのをご存じでしょうか?今回は、この病害虫の発生予報についてお話したいと思います。

 そもそも農作物は人の好みや用途にあうように品種改良されており、人がおいしいと感じる野菜は、おおよそ苦みが少なく、柔らかいものです。しかし、このような植物は病気にかかりやすく、虫も大好きですから、畑に植え付けると、大きくなる前に病害虫にやられてしまいます。そのため農家の人は環境を整えたり、農薬を使ったりして、農作物を育てているのです。1990年代に行われた調査では、病害虫や雑草の管理(防除といいます)をしないで放っておくと、収穫できる量は、キャベツやキュウリでは3~4割くらいにまで減ってしまうとされています。さらに、リンゴなど作物によっては全く収穫できなくなってしまうものもあります。みなさんの食べる農作物を生産する上で、的確に防除することがいかに大切か理解してもらえると思います。

 さて、病害虫を上手に防除するためには、そのタイミングがとても大切になります。庭木やプランターの植物に、気が付いたらびっしり虫がついていて、殺虫剤を使ってもなかなか退治できなかったというような経験をされたことはないでしょうか。病害虫が植物全体に広がってからでは、手遅れになったり、よけいな農薬を使わなくてはならなくなることが多いのです。だから防除のタイミングを見極めるための情報として、病害虫の発生予報が出されているのです。たとえば4月の予報で「アブラムシがいつもの年より早くからたくさん飛んできていますから、防除も早めにしてください。」などといった具合です。奈良県では3月から11月の月初めに定期的に予報を出しています。また特に発生量等が多く注意が必要なときには、注意報や警報を発表することもあります。また、国内や県内で新しい病害虫が初めて見られた場合には特殊報という形で発表しています。

 このような予報がどのようにして作られるかというと、まず県の病害虫防除所の職員が、主な農作物の産地の田や畑を回って、病害虫がどれくらい発生しているか調査します。このデータをもとに、気象予報や害虫の飛来数、作物の生育状況など様々なデータを参考にして、その後1ヶ月間の病害虫の発生を予測します。これに防除方法などの情報を加えて「病害虫発生予察情報」という予報を発表しています。「病害虫発生予察情報」は病害虫防除所のホームページで見ることができます。予報の対象になる作物は時期によって限られていますが、アブラムシなど多くの植物に共通な病害虫もありますので、植物を栽培されている人は参考にしていただきたいと思います。

2005年12月 
奈良県農業技術センター 
環境保全担当 病害防除チーム 主任研究員  吉村あみ