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いらぬ、お節介。いる、お石灰

本には、野菜栽培の前に、石灰を一平方メートルあたり二百グラムまいて土とよく混ぜておきましょう!と書いてあります。まず、この~グラムがやっかいです。いちいち上皿ばかりで計るのは大変です。しかし土はよくできたもので、そんなにきっちり計らなくても失敗のないよう面倒を見てくれます。石灰は手で四つかみ程度、これで充分です。

 次に石灰といっても、園芸店やホームセンターで色々の種類が売られています。炭酸カルシウム、苦土石灰、消石灰、生石灰などがあります。本に書いてある石灰の量は普通、炭酸カルシウム、苦土石灰の量で土とよく混ぜれば、すぐ種まきや植え付けができます。ほかはアルカリが強いので、まく量を消石灰で二~三割、生石灰で四~五割減らし、土と混ぜてから十日ほどおいた方が安全です。

 石灰をやる目的は、まず土の酸性を改善する事です。雨の多い日本では土の石灰などの養分が流れやすく、酸性になっているのが普通です。酸性が強くなると、土の骨組みであるアルミニウムが溶け出してきます。これは茶など特別なものを除き、ほとんどの植物に有害です。また窒素やりん酸などの養分の効きも悪くなります。また、石灰は化成肥料などに含まれている窒素、りん酸、カリと同じように野菜にたくさん必要な養分の一つで、植物細胞の生理的な働きを調節する大切な働きをしています。

 いくら大事な石灰でも、野菜をつくるたび年に何度も、一平方メートルあたり四つかみ(二百グラム)をやり続けていると反対に土がアルカリ性になりすぎて失敗することがあります。アルカリ性が強いと、窒素が雨で流れやすくなり、りん酸の効きが悪くなり、鉄、マンガン、ホウ素などの養分が吸えなくなり、生育が悪く欠乏症が出たりします。

石灰をどれぐらいやるかは、土のペーハーを測り、土の粘り具合などをみて決めるのが一番良い方法です。しかし家庭菜園で何年も野菜を作って、石灰もやられている土では、一平方メートルあたり一年間に苦土石灰を二つかみ(百グラム)程度の量を基準にして下さい。特に、乾燥鶏ふんや鶏ふんが原料の堆肥を毎年使っているときは石灰がたまっている可能性が大きいので石灰は入れない方がよいでしょう。いらぬ、お石灰なのです。
2001年12月
奈良県農業技術センター 
農業情報・相談センター 総括研究員 浅野 亨