注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

オランダの家の前庭について

 オランダの住宅地を歩いていると、通りに面した大きな窓に飾られた鉢花、さらに道路と窓の間の小さな空間の植え込みに気がつきます。見とれていると室内の人と眼が合って、会釈をすることになります。一般に家はささやかで、郊外では二戸一棟が一般的です。外を配慮してささやかに装飾します。

 日本でも最近は街の景観の調和、外に対する配慮が意識されつつありますが、基本的には文化的背景が際だって異なるようにみえます。日本では大きな家には塀があり、庭は私有物です。一方、洗濯物の満艦飾も代表的な風景です。外に対する配慮の違いは、居住空間とか、公共性に対する基本的な認識の違いを感じさせます。満艦飾はアジア的なのかも判りません。しかし、日本人は、軒端園芸にみられるように植物好きでもあります。

 おそらく私たちは、モンスーン的といえる自然の豊かさと、精神的には稲作文化の影響を受け継いでいるのでしょう。逆に、ヨーロッパは環境に対する配慮が早くから発達し、公共性という考えにも一日の長があります。なかでもオランダはダムを作って土地を創った国で、また人口も多く、肩を寄せ合って生活する方便が発達したものだと思われます。

 一方、オランダ人は、車が来ない時は自分の判断で横断歩道を渡るような人たちが多く、一見不道徳な、現実的な面も強くあります。個人主義的ともいえるのでしょうか。

 文化は多様ですが、よい影響は受けたいものです。 

1997年4月
奈良県農業試験場
栽培技術担当 総括主任研究員 長村智司