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のぞいてみよう朝市

最近,農村で,農産物の朝市や直売所が増えています。この背景には何があるのでしょうか。

 経済の成長に伴ない,農産物の流通もずいぶん変わりました。昔は,農産物の流通範囲が限定されていたため,私たちは,地場で作られた農産物を食べていました。しかし,今では,流通が広域化しています。例えば,私たちが食べる野菜の内,7割が県外産,1割が輸入物,残りが県内産です。このような広域化によって,流通の効率がよくなり,安定的に供給されるようになりました。また,多くの品目で,年中,私たちの口に入るようになりました。

 ところが,様々な問題もあります。1つは,農産物の外見を重視する傾向が強まり,化学肥料や農薬の使用量が増えました。2つは,広域化の過程で,県内の小さな農家が衰退してしまいました。

 このような反省から,大量生産・大量流通の野菜よりも,顔が見える野菜,言い換えれば地場の野菜に対する,消費者の志向が高くなり,朝市が栄えているのだと思います。朝市で販売されている農産物は,季節の農産物に限定されるため,品数は少なく,見栄えも決して良くはありません。でも,朝採りであるため新鮮で,農薬の使用量が少なく,安価です。
 
 また,農家側にしても,家庭菜園の残り物のような,市場出荷するほど量や質がそろわない農産物であっても,朝市でなら販売できます。そのため,高齢者などによる副業的な農家でも農業を維持することが可能となり,地域農業の活性化にも役立っています。

 朝市にならぶ野菜や果物を見ると,季節を感じることができ,農家や客との交流を楽しむことができます。皆様も,一度,朝市をのぞいてみて下さい。

1998年1月
奈良県農業試験場
企画調整室 主任研究員 藤本高志