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農林業の6次産業化

 もちろん,農林業は1次産業です。しかし,最近,活性化しているといわれている農山村をのぞいてみると,農林業が2次・3次産業化していることに気づかれるでしょう。つまり,コンニャク,漬物,木工品などの農林産加工品の生産・直売あるいは観光農園などのグリーンツーリズムの提供で,1次×2次×3次=6次となるわけです。このような6次産業化が進む背景には次のようなことがあります。

 国民の食料消費額に占める,農林業など1次産業の生産額は25%にすぎないといわれ,残りの75%は,加工・流通・外食業者などによって付加された価値です。そこで,このような付加価値を農山村に取り戻そうとするものです。また,近年,人々のライフスタイルや価値観が変化し,農山村や農林業に対する都市住民の関心が高まりつつあります。大量生産・流通の農産物・加工品よりも,顔が見える農産物・加工品に対する人々の志向が高くなっています。さらに,農山村で余暇を過ごす人,農山村の特産品を楽しむ人が増えてきました。以上のような農山村側と都市側の背景があいまって,農林業の6次産業化が進むわけです。

 どのような地域で進んでいるかを見ると,山村地域など条件不利地域が多く,このような地域には,美しい自然・景観・文化など,他地域にはないアメニティが多くあります。しかし,他方では,高齢化や過疎化が進みます。このような中で,6次産業化は,高齢者の雇用の場を創出し,地域を活性化します。さらに,国民にとって貴重な農山村のアメニティを保全します。

 これからの季節,農山村へドライブにでかける方も多いことでしょう。道の駅や直売所に立ち寄ることがあれば,販売される特産品やサービスにこのような背景があることを思い起こしてみてください。

1998年8月
奈良県農業試験場
企画調整室 藤本 高志