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孟宗竹の一生は67才?!

 モウソウチクは中国江南地方の原産で江南竹ともいいます。日本への渡来は、1736年。島津藩主が琉球から2株導入したのが最初です。以前からあった、マダケやハチクなどより美味なため、以後、各地に栽培されるようになりましたが、岩手県以北では、生育は良くありません。モウソウチクのタケノコはタケ類の中では最も大きく、肉厚でやわらかく、えぐ味が少ないので、市場にでる大部分を占めています。

 ところで、「竹がなん十年かに一度、一斉に開花してヤブ全体が枯れる。」という話をきいたことはないでしょうか。

 実は、このモウソウチクが、昨年7月から11月にかけて、埼玉県で一斉に開花しました。一斉開花したのは、森林総合研究所の赤沼試験地のモウソウチク林。この赤沼試験地のモウソウチクは、昭和5年(1930年)に開花したモウソウチクからタネを取り、育てられたもので、東京大学の演習林にも移植されていました。また、赤沼試験地からは、茨城県の森林総研本所、宇都宮の農場、栃木県の林業センターにも株分けされていたのですが、このいずれの場所でも一斉開花が見られたといいます。このように、土地や環境に左右されず、一斉に開花することは、モウソウチクが67年の年月を正確にはかる方法を持っている結果なのでしょう。

 このような例として、わが国のマダケが1963年ごろから開花し、数多くの竹やぶが枯れてしまったことがあったそうです。同じ時期にアメリカや、韓国でもマダケが開花し、これらのマダケはおそらく、日本から持ち出されたものであろうといわれています。そのほか、ハチクは120年、オカメザサは40年を周期として開花するといわれています。また、ジャマイカの山地の竹は、世界中どこへ移植しても、発芽後32年目に開花するそうです。

 どうやら竹には、おのおの固有の周期性がありそうです。わたしたちは、「竹の花が咲いた」と話題にしますが、竹の花を一番恐れているのは、タケノコの栽培農家とパンダかもしれません。

1998年8月
奈良県農業試験場
総括研究員 川岡信吾