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カカオとココアとピロリ菌

 カカオは高さ5~8mになるアオギリ科の小喬木です。もともと南アメリカのオリノコ河畔にあったものが、遊牧インディアンとともに他に移り、栽培されるようになったといわれています。樹木とその種子の豆は、それぞれカカオノキ、カカオ豆と言い、豆を粉にしたものがココアです。アメリカ大陸発見以前に、北はメキシコまで栽培が広まり、種子は高価なものとしてあつかわれていました。1516年に始めてヨーロッパに紹介されましたが、一般庶民にまで手がとどくようになったのは、19世紀になってからと言われています。

 カカオの経済栽培は、年平均気温24~25℃で、夜間でも20℃を下らない、湿気の比較的多いところで行われ、種をまいて4年目頃から収穫が始まります。収穫した果実から種をとりだし、発酵、洗浄、乾燥、調整したものがカカオ豆です。

 カカオ豆にはカカオバター(脂肪)が約53%含まれていて、その脂肪のために湯や牛乳に溶けにくい欠点がありました。そこで 1828年頃、オランダのヴァン・ホーテンがカカオ豆から脂肪をへらし、水に溶けやすい粉末ココアの製法を発明したことから私たちに身近なものとなりました。ココアは茶やコーヒーとちがい豆に含まれるタンパク質、脂肪、リン、カルシウムなどむだなく全部飲めることが特徴です。

 ところで、ヘリコバクター・ピロリと言う細菌をご存じでしょうか。胃ガンをはじめとする胃や十二指腸疾患とピロリ菌の関連性は、最近では、周知の事実となっています。また、チョコレートの消費量と胃ガンの死亡率の関係からピロリ菌の感染とココアとの関連性を調べてみようという実験が始まりました。その結果、ピロリ菌の胃粘膜への付着をココアが抑制するというこことがわかりました。ウーロン茶、紅茶にも強い抑制効果が認められましたが、ココアにはより強い付着抑制効果があるそうです。

 胃の膨満感にお悩みの向きには、一度ためしてみてはいかがでしょうか。糖分のとりすぎになるのでは?…いいえ、糖分ひかえめ、無糖のものもあります。


1999年10月
奈良県農業試験場
総括研究員 川岡信吾