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遺伝子組換え植物-食品の安全性-

 1994年、アメリカのカリフォルニア州で、遺伝子組換えで作り出された商品化第1号の作物「フレーバーセーバートマト」が発売され、その日のうちに完売されました。フレーバーセーバートマトは、日持ちをよくする遺伝子を導入されたトマトで、通常10日ほどで腐りだすのが1ヶ月たってもいたまず、みずみずしさを保っています。この画期的な「遺伝子組換え技術」とは、食品として用いられている植物等の性質を人間にとってより有用なものに変えるために、生物から有用な性質を付与する遺伝子を取り出し、その植物等に組み込むといった技術をいいます。

 日本の厚生省が安全性評価を確認した遺伝子組換え食品は6作物20品種にのぼります。実際に除草剤耐性を導入した大豆がアメリカから輸入され、豆腐など形を変えて販売されています。食品の安全性についてはいろいろなチェック項目において、遺伝子を導入する前の植物となんら違いは無いということで、遺伝子組換え植物の特性は遺伝子導入によって付与された形質以外は同じであると判断されています。しかし、遺伝子組換え植物が商品化されてまだ歴史も浅く、慢性毒性に関するデータがない以上、科学の立場から100%安全であるとはいいきれません。けれども、我々が普段食べている植物においても、多くの遺伝子は発現せずに眠っており、環境ストレスによっても作り出されるタンパク質が異なり、それらをすべてチェックして100%安全だと断定するのは困難です。

 世界の発展途上国における飢餓問題や将来の人口急増による食糧不足問題などを考えると、植物育種法の1手法として遺伝子組換え技術は必要不可欠になっています。 

 厚生省が安全性の評価を確認した主な遺伝子組換え食品

対象作物 性 質 申 請 者
大豆   除草剤耐性 日本モンサント(株)
なたね 除草剤耐性 日本モンサント(株)
じゃがいも 害虫抵抗性 日本モンサント(株)
わた 害虫抵抗性 日本モンサント(株)
トマト 日持ち性向上 麒麟麦酒(株)

2000年1月
奈良県農業試験場
資源開発チーム 総括研究員 浅尾浩史