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炭酸ガスのおはなし

 炭酸ガス(二酸化炭素)と聞いて皆さんは何を想像されるでしょう。多分、フロンガス・メタンガスなどとともに地球温暖化の犯人と答えられる方が多いでしょう。大気中の炭酸ガス濃度は、火山活動の活発だった約三億年前には約3,000ppm(ppmは百万分の一)と高い時もありましたが、人類の登場以来約285ppmと安定していました。ところが、産業革命以後化石資源の燃焼によってエネルギーを得ると同時に炭酸ガスを放出し、現在濃度は360ppm前後となりました。このままでは、100年後には約2℃気温が上昇し、地球の生態系へ影響するというわけですが、どうすれば良いでしょうか。現在の便利な暮らしを支えてるエネルギーを得るためには化石燃料を燃やすか原子力に頼るか、または生活を江戸時代以前に戻すかなど色々な考え方があると思います。ウルトラセブンが本当にいれば、太陽エネルギーをもっと有効に使う方法を教えてもらえるのになあと思う人もいるでしょうが、もっと現実的な方法があります。

 それは、CO2+H2O+光エネルギー → CH2O(炭水化物)+O2、すなわち皆様良く御存知の植物が行う光合成です。炭酸ガスを吸収し酸素を放出し炭素を固定する作用ですが、彼ら(植物)にとっては炭酸ガスは我々の食糧みたいなものです。温暖化の影響で気温上昇による生育障害・降雨の不安定・害虫の活発化などマイナス面も予想されますが、気温や炭酸ガス濃度が上がると光合成が盛んになり生産力が増大し、酸素の発生量も増加するといったプラス面もあります。現に、全国のあちこちで積極的に炭酸ガスを作物(イチゴ・メロン・ブドウ・花など)に与えて収量や品質を向上させる栽培が行われています。 毎年、化石燃料の燃焼や熱帯林破壊によって二酸化炭素は炭素換算で約七十億トン放出され大部分は大気に残留したり海洋に吸収されますが、十数億トンの炭素の行方がわからずミッシングシンクと呼ばれています。このように現代の科学でも100%解明されていませんが、化石燃料を燃やすことにより大気中の炭酸ガス濃度が上がるのは確実です。ただ、炭酸ガスの炭素一つにしても地球という生命体の中で循環しているに過ぎません。

 これから、自分たちは地球の一部であるということを認識し、各自がやれることをやるしかないのかもしれません。              


2000年3月
奈良県農業技術センター
果樹振興センター 総括研究員 今川順一