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一年の食事は元旦にあり

あけましておめでとうございます。

 お正月は、昔から日本人にとって心華やぐ祝い行事のひとつです。年改めの除夜の鐘を聞きながら、しみじみと時の流れを思い、初日の出に手を合わせます。元日の朝は家族一同健康に新年を迎えた喜びのあいさつを交わし、各々家自慢のお雑煮とおせち料理を囲み、また親しくしている方がお年始に見えたときには、おせち料理は「これからも長いおつきあいを」という願いを込めた年頭のおもてなしになります。こうした伝統の中に人と人とのふれあいを信じ、頼みにしてきた日本人の素朴な熱い心情が流れているように思います。
 
 皆様のご家庭のお正月はいかがだったでしょうか。21世紀の幕開けの今年は、いつもとは違った感慨を持って迎えられた方も多かったのではないでしょうか。私の家では、大学のために家を離れている息子が帰省し、久しぶりに全員が顔を合わせ、毎年のことで特に目新しい料理でもないのですが、おせち料理を囲み、お雑煮でお祝いをしました。変わらず続けていくことのできる幸せもあるのだと改めて思いました。
 
 おせちは「御節句」を略した言葉で、もとは五節句(人日=1月1日、上巳=3月3日、端午=5月5日、七夕=7月7日、重陽=9月9日)のときに作る料理だったのですが、時代の移り変わりとともにしだいに変わり、今は正月松の内だけの料理になっています。おせち料理の中には、新年を祝う心と語呂合わせをかけた楽しみがあります。ちなみにいわいざかなのいくつかを紹介すると、「黒豆」はまめで達者にという語呂合わせ、「数の子」は子孫繁栄を願い、「田作り」は五万米ともいい、米の肥料として使われたいわしの豊漁祈願をあらわしています。また、雑煮に入れる丸もちや輪切りにした大根、人参は家庭円満を、種イモ(親)の上にできるサトイモ(子)は子供の成長を、四角に切った豆腐は白壁の蔵が建つようにとの願いを込めてひとつのお椀に盛ります。
 
 20世紀は目を見張る科学の発達により、私たちの生活はとても便利になり、特に食事においては欧米化し、形態も様変わりしました。私たちは、昔の生活を否定し便利な生活を追求するなかで、食に込められた祈りや願いを置き忘れてきてしまってはいませんか。お正月にハンバーガーやピザがのぼる21世紀の食卓を味気ないと思うのは私だけでしょうか。

  食生活指針
1.食事を楽しみましょう。
2.1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
3.主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
4.ごはんなどの穀類をしっかりと。
5.野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
6.食塩や脂肪は控えめに。
7.適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。
8.食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。
9.調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。
10.自分の食生活を見直してみましょう。
  (平成12年3月 文部省、厚生省、農林水産省)

2001年1月
奈良県農業技術センター
専門技術員 角山美穂