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黒パン?

北欧デンマークの農家で、1週間ですがホームステイをしました。外国での生活は、いろんな場面で違いを感じますが、今回は食、パンのお話です。このお宅では、お昼に毎日、白いパンと黒いパンが出てきました。白いパンはお馴染みの小麦粉で作られたパン。黒いほうのパンは、日本のパンのような甘味を感じませんし、食感も、”もそもそ”して、なかなか喉を通りません。「パンの味はどう?」とご主人に聞かれて、はっきりと言うことができず、答えに窮した私は、お米でいう精白米と玄米の関係かな?と想像し、「ヘルシーな食べ物ですよね?」と返すのが精一杯。

 実は、この黒いパンの正体、小麦ではなくライ麦のパンでした。デンマークでは寒さに強いライ麦が栽培されてきたことから、地域の風土、農業生産に根付いたライ麦のパンが食べられているのです。
 「とってもヘルシーなのよ」といって奥さんは、小麦粉よりライ麦がいかに体に良いか、消化に時間がかかるので腹もちもよく、自分たちのパワーの源としてどんなに大切な食べ物であるか等々、熱く語ってくれました。(確かに、ライ麦パンは、鉄、ビタミンB1、食物繊維の含量が高く、腹持ちについても、農作業の途中でおなかがすいてしょうがない、なんてことはありませんでした。)

 そうまで言われると、口に合う小麦粉の白パンばかりを食べるわけにもいかないので、毎日1枚は黒パンを食べるようにしました。もっとも、パンだけを食べるのではなく、バターをたっぷりぬり、その上にローストビーフ、ハム、ゆで卵、トマトのスライスなどの好みの具を乗せ、オープンサンドにして食べます。その他にも、チーズは数種類、自家製ジャム、レバーや魚のペーストがテーブルに並びました。そのスタイルは、まさに日本の家庭で楽しまれている手巻き寿司にそっくりです。

 慣れてくると、あまり味に主張のないパンは、ハムやレバーペーストなどいろんな食材との相性が良いことに気づきました。これも、白いご飯がいろんなおかずに合うことと同じですね。また、どうやら黒と白のパンそれぞれに合う食材の組み合わせがあるようなのですが、マスターするまでには至りませんでした。日本では米の品種や炊き方にこだわるように、その国で毎日食べられている食の奥深さは、簡単には分からないものなのかもしれません。

2002年3月
奈良県農業技術センター
研究企画課 経営情報係 主任研究員  平岡美紀