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法面(のりめん)の話

法面とは、「傾斜のある地形で上部に平地を作った時に周辺部にできる斜面部分」のことです。中山間地域で農地を整備し直したところでは大きな法面が見られますが、他にも高速道路の道沿いや山際に造成された住宅地など、身近なところでもよく見かけます。目的とするものの開発、造成にくっついてできてしまうオマケのようなものです。しかしながら、このオマケが厄介で、土砂崩れを防止しながら見苦しくなく管理するのに、非常に手間と費用がかかり大きな問題となっています。

現在、光の通らないシートを張り付けて草の発生を抑えたり、花の咲くグランドカバープランツやハギなどの背の高くならない木を植える方法などが検討実施されています。しかし、いずれの方法も初期費用が高くついたり、定着するまでは従来以上に手間がかかったり、管理を少し怠ると数年後には枯れ込んでしまうなどの問題を抱えています。

 ここで、家の周りの小さな法面管理に適した植物を提案したいと思います。乾燥条件に強くて花も咲く植物としてヒメイワダレソウとツルマンネングサ、それにシバの一種であるセンチピードグラスをお勧めします。ヒメイワダレソウはクマツヅラ科の多年草で、冬期は緑が抜けて土色になってしまいますが、七月から九月ごろまで長期にわたり白い花を付けます。

ツルマンネングサはベンケイソウ科の多年草で、今話題の屋上緑化によく用いられているセダム類の仲間で、六月から七月に黄色い小さな花がたくさん咲きそろいます。センチピードグラスはキビ亜科の暖地型シバで、冬場に地上部は枯れこみますが暑さに強く、和名ムカデシバの名の通りムカデのように周囲に広がっていきます。これらの植物を管理するポイントですが、とにかく一年目は競争相手の雑草を抜き取って応援してやることです。うまくいけば二年目からは管理時間が大幅に少なくなり、きれいな法面を鑑賞できるでしょう。

最後にもう一つ、草刈り作業がそんなに苦でないなら、従来通り草刈りを繰り返すのもバカにできない方法です。多年草のチガヤが優占種となり、早春からオオイヌノフグリやホトケノザの可愛らしい花やツクシなどが楽しめます。
ツルマンネングサ(Sedum saramentosum)

2002.4
奈良県農業技術センター
企画研究課 総括研究員 西野精二