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休日に楽しむスパイスとハーブ

○スパイスとハーブの違い
英語で「スパイシー」というと「辛い」という意味もありますが、同時に「風味豊かな」「香りが際立った」という意味もあります。東南アジアなどの気温が高い国では食べ物の腐敗を防ぐために油で揚げたり炒めたりする調理法が多いようで、このことにより油を多く摂取することになります。そのため身体はより多く新陳代謝を必要とし、代謝を活発にする働きのあるスパイスが多く使われることになります。また、このように気温の高い熱帯地方では食べ物が腐りやすいため、有機酸を含むレモンのような柑橘類で料理を味つけし、有害な細菌の増殖を抑えているそうです。最近になって、洪水のようにヨーロッパのハーブが日本に入ってきました。日本にもシソやサンショウ、ミョウガなどのハーブがあります。ハーブとは主に生の葉のことを言うようで、ヨーロッパの人々が昔から身近にある植物を摘み取り、料理や薬に使ってきたものです。最近のように交易が盛んになるにつれ、昔のように西洋のものだけをハーブと呼ぶのには無理が生じ、レモングラスのようなアジアのものを含めて、広くハーブと呼ばれています。生葉を「フレッシュ・ハーブ」、乾燥させたものを「ドライ・ハーブ」というのが正確かもしれません。

○スパイスと胃腸薬
胃腸薬の成分表示を見ると、桂皮(けいひ)、茴香(ういきょう)、甘草(かんぞう)、丁字(ちょうじ)……いろいろな名前がずらっと書いてあります。漢方薬だと思うでしょうが、実は全部スパイスです。桂皮はシナモン、茴香はフェンネル、甘草はかんぞう、丁字はクロープ。スパイスに全然関心のない人も、知らないあいだにスパイスでからだの調子を調えて貰っていることになります。また、最近ヨーロッパを中心に注目されている「アロマセラピー」という考えがあります。「アロマセラピー」とは、ひと言でいえば、からだの調子を調えたりリラックスしたりするために、スパイスの香りを役立てるという「芳香療法」のことです。ただし、これらを楽しむときは、スパイスについての的確な知識も必要だということを知っておいてほしいものです。

○大気のビタミンとしてのハーブ
森林の中を歩いていると気分が落ち着くといった経験のある方がおられると思います。このようなことを森林浴といいます。森林浴で有名なフィトンチッドを提唱したソ連の科学者トーキン博士は、高等植物から発散される揮発性の有効な成分を「大気のビタミン」と呼びました。この有効な成分は分子量の小さい揮発物質で、多くはテルペン、それもモノテルペン類が多く、香りの良いハーブには、さまざまなモノテルペン類を含んでいます。ミント等のハーブ類やバラ等の香りを嗅いで、すがすがしい気持ちになられたことがあると思います。このような臭いは、日常の生活でつかれ、ささくれ立った神経をねぎらい、活気を与えるハーブの香りの効果は決して小さくはないと思われます。部屋の中や庭にちょつとしたハーブ園を作ってみてはどうでしょうか。

写真左から ローズマリー、チャイブ、マロウ
2002.5
奈良県農業技術センター
研究企画課  主任研究員  藤沢一博