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カラスの話

 みなさん、カラスをご存知でしょうか?多分ほとんどの方が「知ってるよ!あの黒くてカーカー鳴く鳥でしょ!」と言われることでしょう。童謡に歌われたりもするカラスは、全国いたるところで最も身近に見られる鳥、といっても過言ではありません。

 日本には数種類のカラスがいますが、多く見られるのはハシブトガラス、ハシボソガラスの二種類です。ハシブトは元々南方のジャングルに、ハシボソは北方の草原にそれぞれ住んでいたと考えられています。都市部ではハシブトが、農村部ではハシボソが多く見られますが、ハシブトは林立するビル群を故郷のジャングルにみたてて、都会暮らしにより適応しているようです。

 しかし、その真っ黒な風貌とうるさい鳴き声、ゴミなどを荒らす素行の悪さから、一般的にあまり良いイメージは持たれていないようです。また、果樹でもカラスの被害は大きく、様々な鳥類の中でもだんとつの首位を占めています。特にモモやナシなど、袋かけ栽培を行う果樹では果実を袋ごと引きちぎってしまい、大きな問題となっています。数が多く、体が大きく、雑食性で適応力に優れることが、カラスを鳥類一番の「悪党」にしていると考えられます。しかし、果たしてカラスは本当に「悪い鳥」なのでしょうか?

 自然界では、カラスは動物の死骸等を片付ける掃除屋(スカベンジャー)としての重要な働きをもっています。従ってゴミをあさるのは、カラスにしてみればいわば当然のお務めなわけなのです。ところが、人間が栄養価の高いゴミを大量に出すものですから、それを食べ続けたカラスは大変な数に増えてしまったわけです。つまり、大量生産、大量投棄型の人間社会がカラスを「飼育」し、その被害を増大させていると言っても過言ではないのです。

 近年、カラス害の大きさに耐えかねた自治体によって、カラスからゴミを隔離するなどの対策が講じられるようになっています。現在、我々はカラスとのつきあい方を真剣に考えなくてはならない時代になってきているようです。   
身近な存在であるカラスを、一度よく観察してみましょう。
2002.6
奈良県農業技術センター
果樹振興センター 作物保護チーム 研究員 米田健一