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サル・シカ・イノシシを上手に防ぐ

 せっかく栽培したお米や野菜が、一日でメチャメチャにされるのは腹立たしいことです。そのことを予想して田や畑を柵で囲ったのに、それを破ったり、乗り越えて侵入された時はよけいに腹がたちます。そんな時に、「あの柵ではだめだ。撤去して新しいものに代えよう。」と考えてしまいがちですが、それでは経費がかかりすぎます。私たち鳥獣害対策プロジェクトチームでは、 みなさんの設置した柵がなぜ侵入を許してしまったかを研究し、お金のかからない改善方法を開発しています。

 その過程でわかってきたのは、サル、シカ、イノシシといった野生動物は、時間はかかるけれど慣れていくということです。たとえばちょっとした囲いでも、慣れるのに1年、2年と時間がかかることもあります。一見して効果があったと思われる柵でも、それは慣れるまで時間がかかっているだけで、実力的には簡単に越えることができそうな柵というのが現場では数多く見られます。

 特に、サルの場合、最初は効いたようにみえる柵やネットを越える技術(?)を持つ連中が現れたその時を狙って、少し侵入や脱出の難しい柵に改善強化します。それを越えるのが出てきたら、また、すかさず強化します。そうすると、サルは侵入や脱出の方法を覚えて自信満々で入ったのに、脱出で思わぬ苦労・・・という経験をします。そして、ムレ自体がその畑をさけるようになります。これが実は、撤去して新たな柵に代えるより効果があるのです。ただ、強化する方法やタイミングは、多少サルの運動能力や行動様式がわかってないと、単なる素人の補修に終わってしまいます。ですから、補強のコツをつかむまでは、私たち鳥獣害チームが支援します。

シカやイノシシでも、せっかくここまでやったのなら、もう少しこうやれば完璧なのにという柵が多いようです。果樹振興センターにある猿害防止展示コーナーには、サルだけでなくシカ・イノシシのための廃材を利用した安価な柵や補強のポイントなども展示してあり、上手な柵の設置方法も体験できます。あらかじめ予約は必要ですが、農林振興事務所や市町村役場を通じて申し込んでいただければ、チーム員が対応します。

猿害防止展示コーナーの展示内容
・鳥や獣から守りやすい野菜や果樹の栽培法
・知らない間に進めてしまう<餌付け>のいろいろ
・簡易猿害防止柵<猿落君(えんらくくん)>設置法と強化改善法
・簡易イノシシ防止柵<猪っ止まて(ちょっとまて)>設置法など
2002.10

奈良県農業技術センター
果樹振興センター 総括研究員 井上雅央