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ホテイアオイ

ホテイアオイという植物をご存じでしょうか。熱帯・亜熱帯アメリカ原産の水生植物で、夏場に薄紫色の美しい花を咲かせます。金魚の水槽などでよく見かけることができる、浮き袋のついた水草です。

こんなホテイアオイですが、生育力の強さから実は暖地では雑草化が問題視されています。そのような背景もあり、環境保全や資源のリサイクルといった面に役立てようと考えられています。まず、養分吸収力の強さを逆に利用し、河川や水田、水路といった場所の余分な窒素などを吸収させようというものです。当センターの水田で行った試験では、単位面積あたりの窒素吸収量が14.4g/m2で、ハス(3.9 g/m2)やショウブ(3.3g/m2)など他の水生植物に比べて3~4倍という結果が得られました。
さらに、水路の用水中の窒素とホテイアオイを植えた水田の田面水中の窒素を比較したところ、最大で85%近い減少が認められました。このような結果から、遊休水田においてホテイアオイを栽培することにより、周辺の景観や水質の保全が可能になります。
また、生育が旺盛なホテイアオイですので、冬場に枯れた後も土壌にすきこんでやることにより、大量の有機物を土壌中に還元できることになります。このように、有機質肥料としての活用も目指しています。さらにユニークな利用方法としては、家畜の飼料や焼酎の原料といったところが報告されています。

さて、ご家庭でもホテイアオイを栽培してみませんか。戸外の日当たりの良い場所なら、春から10月くらいまで栽培可能です。適当な容器の底に薄く土を敷き、水を5cm程度貯めて浮かべます。水は2週間くらいで替えてやりましょう。暖かい間はどんどん増えますが、寒さには非常に弱いため、10月下旬くらいから来年用の株をいくらか室内に移してやります。この時も日当たりの良い場所を選びましょう。また、養分吸収力が強く、どんどん栄養分を吸収して大きくなり過ぎてしまうため、肥料は原則的に必要ありません。

皆さんもきれいな花を観賞しながら、身近な所の環境保全や資源のリサイクルといった問題について考えてみてはいかがでしょうか。
2002.11
奈良県農業技術センター
環境保全担当 土壌・水質保全チーム 主任研究員 堀川大輔