注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

山野草と環境保全の話

  「風が吹けば、桶屋が儲かる」式のタイトルになってしまいましたが、まず山野草とは何でしょうか。

 この中には色々な植物が含まれています。 一般的には、野生状態でも美しい植物で、本来的には木本類(樹木)を除くものと言うことになりますが、小型の木本類(例えばヤブコウジ、クロマメノキやシラタマノキなど)も山野草扱いになることがあります。また、高い山にしか生育しないものは、高山植物として別の分野に分けられます。

 日本には、野生の状態で十分にきれいと思われる花がたくさんあります。たとえば、奈良地域で見られるものでは、早春に咲くフクジュソウ・カタクリ・イチリンソウ。初夏からはササユリ・ヤマユリ・ヒメユリなどのユリ類、カワラナデシコやフシグロセンノウなどのナデシコ類が次々に花を咲かせます。夏になるとホタルブクロ、オカトラノオ、アジサイ類やショウマの仲間もきれいですし、地味なところではダイモンジソウのようなユキノシタのグループが日陰で咲いています。秋には、「秋の七草」をはじめホトトギス類、ノギク類、シュウメイギクからワレモコウとなります。

 山野草のふるさとは、「里山」と呼ばれる地域にあります。この場所は、人の手(例えば草刈り)と自然が相互に作用して現状が維持されている所ですので、最も身近な自然と言うことになります。このような場所から、園芸植物のような派手さはありませんが、可憐な花達を見いだして愛玩し、期せずして自然環境の保護を心がけてきた先人の感覚をもう一度確認すべきではないでしょうか。

 今回のテーマの結論として、これらの植物はある意味で環境指標植物ともいえますから、山野草の保護を通して環境保全を考える事は、今後の我々にとって大事な視点ともいえるでしょう。


奈良県農業技術センター
普及技術課 副主幹 寺田孝重