注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

奈良のうまいものって

  「あなたの好きなもの、おいしいと思うものを教えてください?」と尋ねられたなら、あなたは何と答えますか。たぶん、あれこれ考えながらも、次から次へ途切れることなく答えられるのではないでしょうか。その中には一流レストランや老舗料理屋などの料理も出てくるかもしれませんが、特に有名でもない小さな町のケーキ屋さんとか、また、お母さんやおばあちゃんが作ってくれた子供の頃に食べた一品をあげる人も多いのではないでしょうか。

 それは、昔食べたときにおいしかったという強い印象からくるものと、食べたときのまわりの情景、楽しかった、うれしかったという思い出がおいしかったという味(料理)と合わさって残っていて「おいしいもの」を教えてと尋ねられたとき頭に浮かんでくるのかと考えます。楽しかった食事のひとつに家族や友達とで食卓を囲んでいる情景=団らんが浮かびます。食事を共にすることによって、コミュニケーションをはかること、それが、身体的にも、精神的にも良く、たのしかった思いにつながっていると考えます。食卓から立ち上る湯気は人の気持ちを癒し、雰囲気を温かくします。

 私事になりますが、高校生の時に一年間自炊(下宿)をしたことがあります。自炊を始めて間もなくだったと思いますが、簡単に作れることもあって「カレーライス」を大鍋に作ったのです。さて、「いただきます」と食べかけた途端に、寂しくなって涙が溢れてきてしまいました。自分自身、全然予期していなくて、泣いている自分に驚いたくらいでした。私にとっては、「カレーライス」が家族団らんのなかでのおいしい食べ物だったのでしょうか。

 さて、今度は「奈良のうまいもの(おいしいもの)を教えてください?」と、尋ねられたら、あなたは何と答えますか。少し考えてみてください。どうですか、何が浮かびましたか。

 奈良を代表する食(料理)として思い浮かべたのは、柿の葉寿司、三輪そうめん、奈良漬け、・・茶粥、吉野葛、・・・えーと、その次が続かない人が多いのではないのでしょうか。そして、そのなかでおいしいものとして、紹介なり自慢できるとなるとまた、さらに唸ってしまうのではないでしょうか。観光地であり、食い倒れの大阪や、雅な京都と隣り合っているにも関わらず、食についても奈良は鄙びなのでしょうか。こうなったら、奈良の味をみんなで作り上げなければいけないかな、と思いませんか。

 そこで、平成14年度から、奈良県では「奈良の食づくり行動計画」策定と合わせて、「奈良のうまいもの」づくりが動き始めました。先日の会議には、料理家やジャーナリスト、県民の代表などが出席し、「手ごろで奈良らしい外食」を基本コンセプトに、今後一般県民からレシピやアイディアを募集し、「奈良のうまいもの」を発表して平城遷都1300年を目安に普及、定着を図っていくことが、決まりました。

 地域食材を使ったおいしい料理というだけでなく、食べるときの趣向や、演出も「おいしい」という大きな要因になると考えます。皆さんが奈良のうまいものとして、お友達に紹介したい、伝えたいと思えるものを、みんなで作り上げていく試みです。皆さんが考えていらっしゃるアイディアをどんどん提案していただく予定です。どんな味が「奈良のうまいもの」になるかとても楽しみです。皆様のご協力をお願いいたします。
2003.2
奈良県農業技術センター
普及技術課 専門技術員 角山美穂