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植物ホルモン「ジベレリン」の話


 植物ホルモンは、植物が発芽し、茎や葉を伸ばし、花を咲かせ、実をつけたりするのに必要なもので、植物自体が持っているものです。危険といわれている環境ホルモンとは全く違うものです。植物ホルモンの有名なものには、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、エチレンなどがあります。この中で農業に利用されているものを、植物成長調整剤と呼んでいます。今回は、最もよく利用されているジベレリンについて紹介します。
 ジベレリンは、日本人が発見した世界に誇れる植物ホルモンであり、現在も農業だけでなく、いろんな分野で活用されています。

 さて、ジベレリンは何から発見されたのでしょうか? 種子消毒が十分でない水稲(米)の育苗で、葉色が薄く、ほかの苗よりも抜きんでて伸びている苗を見かけることがあります。このイネがヒョロ長く伸びる病気を「イネばか苗病」といい、その苗を植えても、草丈は伸びるがやがて枯れてしまいます。この“伸びる”という作用に着目した日本人研究者が、イネばか苗病菌から取り出したものをイネなどの植物にかけると植物がよく伸び、伸長促進効果があることを確認し、「ジベレリン」という物質として発見したのが最初です。つまり、最初は植物ホルモンとしてではなく、菌が出す物質として発見されたのです。その後、インゲンなどのマメ科植物やタケノコなど、どんどん伸びる植物からも発見され、植物自身が持っている植物ホルモンの一種として位置づけされました。現在、ジベレリン類は、100種類以上が様々な植物から発見されています。

 それでは、どのような作用があるのでしょうか? ジベレリンなどの植物ホルモンは、処理する時期や作物によって、その作用は変わってきます。代表的なものは、
1.茎や葉を伸ばす(伸長成長促進作用)
2.受精なしに果実を大きくさせる(単為結実)
3.開花を早める(開花促進)
4.休眠中の種子を発芽させる(休眠打破)
などがあります。

 特に単為結実の作用は、農業では広く利用されています。今では当たり前になっていますが、ブドウにジベレリンを処理して「種なしブドウ(デラウェアなど)」を作っています。これはジベレリンの実用化された利用方法の中でも、最も成功した例です。その他に、ミカンの落果防止やシクラメンの開花促進などにも活用されています。

 ジベレリンなどの植物成長調整剤は農薬に分類され、非常に少ない量で効果が現れるので、使用時期、使用量、使用濃度、適用作物を必ず守って使用して下さい。


奈良県農業技術センター
環境保全担当 土壌・水質保全チーム 西川 学