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タンパク質の役割

タンパク質は糖質、脂質とともに、三大栄養素の一つにあげられています。個人差はありますが、私たちの体の約15%はタンパク質からできており、特に男性の場合は、水分についで多く含まれる成分です。

一概にタンパク質と言っても、実際にはいろいろな形で存在し、様々な役目を担っています。この冬、日本列島で猛威を振るったインフルエンザ。この原因となるウイルスを退治する抗体はタンパク質です。さらには、食べた食事は口の中や胃や腸で消化されますが、この消化で重要な役割を担っている酵素もタンパク質なのです。酵素は体内で働いているだけではなく、洗剤や化粧品等にも含まれており、タンパク質は私たちの体の内外で大いに活躍しています。

ところが、このように役に立つタンパク質ばかりではなく、私たちにとって迷惑なタンパク質も存在します。例えば、食中毒の原因となる毒素もタンパク質である場合があります。牛海綿状脳症(狂牛病)の原因であるとされているプリオンもタンパク質なのです。

このように、私たちの生活とは切っても切れない関係にあるタンパク質ですが、私たちの体に吸収する場合には、まずは栄養素として摂取しています。栄養価の高いタンパク質を含む食品の代表といえば鶏卵です。また、肉類も効率的にタンパク質を摂取できます。牛乳にもカゼイン等が含まれ、タンパク質の栄養価の高い食品です。これらはタンパク質でも動物性タンパク質に分類されます。

次に植物性タンパク質について考えてみましょう。植物性タンパク質を多く含む食品としてあげられるのは大豆です。乾燥大豆100グラム中におよそ30グラム以上のタンパク質が含まれています。大豆加工食品である豆腐や醤油もこの大豆に含まれるタンパク質を利用した食品です。大豆タンパク質はこのような食品に利用される以外にも抗ガン作用や肥満防止など、あらゆる機能性が注目され、研究・利用されています。

小麦や米にもタンパク質は含まれています。小麦はタンパク質をたくさん含むほど良質とされ、タンパク質を多く含む小麦の栽培技術について盛んに研究されています。米にもタンパク質が含まれていますが、米の場合は大豆や小麦とは逆で、タンパク質の割合が高いと、ごはんはまずくなってしまいます。ですから、おいしい米を作るために、肥料のやり方を工夫するなどしてタンパク質の割合が高くならないように栽培されています。

国や県の研究機関では、基本的な栽培技術から遺伝子組換え技術にいたるまで、作物に含まれるタンパク質をターゲットにした試験研究がたくさん行なわれています。そして、これからは、タンパク質をただ単に効率的に摂取することばかりではなく、大豆タンパク質に代表されるような私たちの健康に作用するタンパク質の様々な機能性にも着目しながら、食事をしてみてはいかがでしょうか。

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奈良県農業技術センター
生産技術担当 作物栽培チーム研究員 野村貴浩