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雲と作物

雲の量
 私たちの生活の中で、毎日眺めている空の雲について考えてみましょう。空を見上げても雲の全くない快晴日はめったにありませんね。雲が空を覆っている程度を雲量といい、1から10までの数字で表します。雲が全くない状態が0,空が完全に雲に覆われている状態が10となりますが、これらは観察者の目測によって決められ、結構大ざっぱなものといえそうです。
 奈良気象台の観測によると、昨年で雲量0の日はたった8日しかありませんでしたが、雲量が10の日は100日もありました。年間を通しての雲量の平均値はほぼ7で、私たちがいかに雲に覆われながら生活しているかがわかります。

      春の雲ながめてをればうごきけり(草城)

雲の日覆い
 全国各地で年間1000ミリ以上の降水量をもたらす雲ですが、作物の生育にとって重要な陽光を遮る働きも無視できません。特に、日射量の少ない冬季の雲は恨めしい存在になります。一方、厳しい暑さの続く夏季では、雲によって日が陰ることは作物にとっても元気を取り戻すことができ、ありがたいものです。
 雲が日射をさえぎっている比率を、毎月の快晴日の日射量をもとに計算してみると、昨年の一年間平均では38%となりました。月別では、一番陽光のほしい1月は55%も遮光されていましたが、一番日陰のほしくなる8月には29%しかありませんでした。

雲による保温
 夜間晴天になると冷え込みが厳しくなります。このことは天気予報でもしばしば語られていますし、農業に関わる人たちの間では、霜害などで被害を受けた経験などから良く知られています。夜間における雲は地面や作物からの放熱を防ぎ、冷え込みを和らげることによって、作物を霜害から守ってくれます。

雲の代わりに
 作物にとって必要なときにいつも雲があるとは限りません。暑さで弱っているとき、せっかく出てきた新芽が霜で枯れそうなときには、雲の代わりに遮光ネットや不織布などの被覆資材をかぶせてやります。これは農業生産において、作物を守るための、大切な技術の一つといえるでしょう。

 

2003.4
奈良県農業技術センター
普及技術課副主幹 黒住 徹