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バイオテクノロジーの力

 バイオテクノロジー。もうすっかり聞き慣れた言葉ですが、わたしたちはこのテクノロジーについて一体どのくらい知っているのでしょう?

 このカタカナを見ただけで何やら難しいものを想像した人もいるかもしれません。しかし、私たちの周りでは、とても身近に活躍しています。その歴史は奈良時代やさらには縄文時代にまでさかのぼるとも言われています。おつけものはその例です。おつけものは微生物の「発酵」という生命活動を利用した食品です。このように、生物の持つ優れた機能を利用した技術がバイオテクノロジーです。ですから、乳酸菌を利用したヨーグルトやチーズ、あるいは納豆もバイオテクノロジーを利用した食品です。こういった伝統的なバイオ食品もありますが、新しいバイオ食品も次々に誕生しています。お腹がゴロゴロしにくい牛乳や臭い控えめの納豆など新しい機能を持った食品として存在するばかりでなく、食品添加物の生産にもバイオテクノロジーは利用されています。

 このように、バイオテクノロジーは昔から私たちの生活の中で威力を発揮しています。では、他にはどんな技術が研究され、利用されているのでしょうか?例えば、遺伝子組換え技術は盛んな研究の一つです。この技術はある生物が持つ優れた機能、具体的には暑さに強いとか、薬になる成分を生産できるといった性質を、それを持たない生物に与えようとするものです。この方法によって微生物を用いて抗生物質を生産することができます。研究がすすめば、苦い粉薬を飲まなくても、ごはんを食べながら野菜や卵などからおいしく薬を服用することが可能になるかもしれません。

 この遺伝子を利用した技術を応用して、現在、農業技術センターでは、国や他の県と共同して、DNAによるイチゴの品種識別技術の開発をしています。最近、イチゴが違法に外国に持ち出され、逆輸入されるケースが見られます。また、食品の偽装表示も世間を騒がせました。偽装表示はイチゴにもあってはならないことです。ですから、品種を見分ける方法が開発できれば、こういったことが未然に防げるようになります。そして、奈良県で育成された、県民の財産とも言うべき「アスカルビー」を守ることができます。

 ここに挙げたのはほんの一例にすぎません。医療、環境、農業や工業など、ありとあらゆる分野でバイオテクノロジーは利用されています。元は何らかの生物が持っていた力を利用するだけで、こんなにいろいろな事ができてしまうのです。こんな素晴らしい力を貸してくれた彼らのために、これからは私たちが何か恩返しをする番なのかもしれません。


                               遺伝子組換え技術の可能性イメージ

2003.11
奈良県農業技術センター
生産技術担当 資源開発チーム 技師 野村貴浩