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知っていますか?遺伝子組換え作物・食品

 約10年前にアメリカで日持ちのいいトマトが売り出されました。これが遺伝子組換え作物が商品化された第1号です。その頃から世界では、除草剤の影響を受けない性質や病害虫に強い特性を持ったダイズ、トウモロコシ、ワタなどの遺伝子組換え作物が栽培されるようになりました。
日本でもサントリーが、平成9年に国内初の遺伝子組換え作物である青色系カーネーション「ムーンダスト」を開発しました。これは食品ではないこともあって消費者には受け入れられました。今でも花色変化に関する研究は精力的に進められており、青いバラの開発も間近に迫っているようです。

 平成8年に遺伝子組換え食品として安全性を確認したものについて輸入が可能になり、遺伝子組換え作物はいろいろな加工食品の原材料として利用されてきました。しかし、消費者からの要望もあり、平成13年4月1日から食品衛生法によって遺伝子組換え食品の表示が義務付けられました。スーパーなどに並んでいるスナック菓子などの裏面を見れば「遺伝子組換え不分別」の表示を目にすることがあります。一方、醤油や豆腐には「遺伝子組換え不使用」の表示が多く見られます。この「不使用」は表示しなくてもいいのですが、遺伝子組換え作物を使っていないことを強調して購買意欲をそそろうとしているのです。これらの表示は、安全か否かを示しているのではなく、消費者に購買する時の選択機会を与えるためのものです。

 平成15年11月28日にベンチャー企業であるエーヒットバイオ(本社:札幌市)からアメリカ産遺伝子組換え大豆を95%使用した納豆の販売が開始されました。その名もDr. 富ちゃんの「納豆のススメ」(写真)です。日本では消費者の遺伝子組換え食品に対する根強い違和感から遺伝子組換え不使用を表示して売られている商品が多い中、この「納豆のススメ」は遺伝子組換え作物を材料としていることを全面的に打ち出して販売した最初の商品です。バイオを消費者に正しく理解してもらうために、実物を食べられる機会を作りたいというのが販売元の願いです。

 一方、花粉の飛散による環境汚染や遺伝子組換え自体に対する倫理的問題などの反対意見もあります。世界における遺伝子組換え作物の栽培面積が日本の耕地面積の10倍以上にまで拡大している現在、遺伝子組換え作物や食品を無視することは不可能だと思います。遺伝子組換え技術を用いることによって、今まで生育できないような劣悪環境の地域でも栽培できる作物が作出でき、機能性を付与した作物も作ることが可能になります。

 これからは遺伝子組換えについて正しく判断できる知識を持ち、かしこい消費者になることが重要ではないでしょうか。
2004.3
奈良県農業技術センター
資源開発チーム 総括研究員 浅尾浩史