注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

エネルギーと農業

○原油輸入量は布目ダム14杯分 
我が国の産業部門、民生部門、運輸部門を合わせたすべての年間エネルギー消費量はおよそ37×1014 キロカロリーといわれています。これを原油の量に換算すると、4億キロリットルもの量になります。エネルギー消費における石油依存度はその半分くらいで、エネルギー用途以外も含め、実際には年間に2億5千万キロリットルの原油が輸入されています。
 身近なものに置き換えれば、奈良市の水源である布目ダムの総貯水量の14杯分、よくたとえにされる東京ドームだと200杯分の原油が、毎年我が国で消費されていることになります。

○大型ハウスのトマト栽培に石油ドラム缶30本
 それでは、農作物の栽培にどれくらいエネルギーが使われているのでしょうか。施設野菜の代表格であるトマトの場合、栽培ハウス内の気温を夜間でも8~10℃くらいに保つ必要があります。1000平方メートル(300坪)のハウスの最低気温を、一冬中8℃に保とうとすると、奈良市の気象条件ではおよそ4400万キロカロリーの暖房エネルギーが必要となります。この燃料に石油を使用した場合6キロリットルが必要で、ドラム缶だと30本になります。

○トマト1年分に0.4リットルの石油
 冬期に栽培する促成栽培では、1000平方メートルのハウスでおよそ15~20トンくらいのトマトを収穫することができます。総務庁の家計調査によると、日本人一人あたり、一年間でトマトを3.5キログラムほど消費します。したがって、このハウスでは5千人が1年間に消費する量のトマトを生産することになります。暖房エネルギーの必要な冬季のトマトが全体の3分の1だとすると、日本人一人が1年間に食べるトマトに対して0.4リットルくらいの石油が暖房で使用される計算になります。

○農業の消費は全体の2%
 農業全体を見ると、最初に紹介した我が国のすべてのエネルギー消費の2%くらいになり、内訳は図のとおりです。これは、食料生産の重要性を考えると、けっして多くはないと思われます。ただし、石油依存度が90%以上もあり、他部門に比べ非常に高いことが問題点として指摘されています。今後、ますます生産の効率化や自然エネルギーの利用による石油消費の低減が求められています。
 一方で、「バイオマス」といって、家畜糞など、農畜産廃棄物や副産物をエネルギー生産に利用する研究が進められており、地球温暖化をもたらす炭酸ガスの排出を抑える方法として、注目されています。

農業の部門別投入エネルギー比率(間接消費含む 1995)
(農林水産技術情報協会資料より)


2004年5月
奈良県農業技術センター  
生産技術担当 統括主任研究員 黒住 徹